KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

共感力は実はハードスキルだ

2022年12月8日(木)

ハードスキルは個人の能力、ソフトスキルは人間関係にかかわる能力と区別されます。そうすると他者に対して共感する能力はソフトスキルに分類されます。しかし、共感力は、個人の能力を伸ばす土台となるハードスキルであると考えています。最近では、メンタライジング=メンタライゼーションという用語で、他者の心の状態を推測する能力として取り上げられることも増えています。

たとえばゼミのように、グループで何かやっているときに、他のメンバーの発言をただぼーっと眺めていたり、自分には関係ないと考えて内職をしている人がいます。そういう人は絶対に伸びません。

テニスのグループレッスンでも、自分の待ち時間のときに何をするでもなく、ぼーっとしている人がいます。そういう人はいつまでたっても我流の打ち方を脱却することができません。反対に、うまくなる人は、待ち時間のときに、コーチの打ち方を注意深く観察したり、他のレッスン生の打ち方を見て、自分ならどうするかをシミュレーションしているのです。

共感力やメンタライジングは、自分の能力を伸ばすための土台となる能力です。それは、「こういうとき私ならどうするか」ということをたえず考え、シミュレーションすることができるかどうかという明確な能力なのです。それを考えられる人と、それができない人とでは、実際に自分が実行するときに明確な差となって現れます。

人は実際に実行する前に、一度自分の中でシミュレーションしなければうまくなりません。それができるためには、「いったいこの人は何を考えてこれをやっているのだろうか」ということを推測する能力、つまり、共感力=メンタライジング能力が必須なのです。