KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ネルセン、ロット、グレン『クラス会議で子どもが変わる』

クラス会議で子どもが変わる―アドラー心理学でポジティブ学級づくり

クラス会議で子どもが変わる―アドラー心理学でポジティブ学級づくり

  • 作者: ジェーンネルセン,H.ステファングレン,リンロット,諸富祥彦,Jane Nelsen,H.Stephen Glenn,Lynn Lott,会沢信彦
  • 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本
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決めつけるのではなく、確かめること。救い出すのではなく、問いかけること。指示するのではなく、誘うこと。期待するのではなく、賞賛すること。大人中心主義ではなく、尊敬すること。これらが若い人たちを勇気づける行動だと著者たちは主張します。

教科の内容を教える前に、クラス会議を開いて、個々がコミュニケーションのスキルを身につけ、クラスという集合を機能するグループにすることが必要だと言います。そのための具体的な方法をこの本は解説しています。

7つの法則

  • 3つの「勇気を与えるものの見方」
    • 1. 自分自身の有能さに関する認識:「私は有能だ。」
    • 2. 重要な人間関係において自分には存在意義があるという認識:「私は意味のあるやり方で他人に貢献でき、そして私は純粋に必要とされている。」
    • 3. 自分の人生に影響を与えるだけの力を自分が持っているという認識:「私は自分に起こることに対して影響を与えることができる。」
  • 4つの基本スキル
    • 1. 自分自身との関係についてのスキル:自分自身の感情を理解し、その理解を自己規律、自己コントロールを伸ばすために用い、そして経験から学ぶ能力。
    • 2. 他者との関係についてのスキル:傾聴、コミュニケーション、協力、交渉、分かち合い、そして共感することを通して他者と一緒にやっていく能力。
    • 3. 責任の(systemic)スキル:責任感、適応力、柔軟性、そして誠実さをもって日常生活の限界と結末に対応する能力。
    • 4. 判断するスキル:智恵を発達させ、適切な価値観に基づいて状況を評価する能力。

具体的で実践的な事例に富んでいるので、教師が本当にやる気になればこれを実現することは可能でしょう。しかし、そのためには、教師自身が確信と迫力を持って臨むこと(この本の著者たちは最大限の迫力を持っているように見えます)、それから何よりも生徒との信頼関係があることが前提条件になるような気がします。

今の学校という枠組みの中で、はたしてその条件がどれほど満たされるのか、そのことに確信が持てないでいます。