KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【エスペラント】F. Gobbo: 統一化と分断化:疫病流行後の人類の抱えるジレンマ

2023年2月9日(木)

https://www.youtube.com/watch?v=_khYPWElixI

Gobbo氏はアムステルダム大学の国際語論・エスペラント学の教授です。2022年9月23日に八王子市で開催された第109回日本エスペラント大会の講演「コロナ禍後の新しいコミュニケーション時代とエスペラント」で紹介された講演ビデオです。30分の講演内容がとても面白かったのでメモしておきます。

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Floridiは2013年に人間と技術の関係について3つの分類を提示している。1次的技術とは、例えば帽子のように、人間が特定の目的(太陽光からのまぶしさを減らす)のために直接使うものである。2次的技術とは、例えば錠前と鍵のように、他人がドアを開けられないように、技術が組み合わされたものである。そして、3次的技術は、コンピュータが発明されて以降の技術である。それは、技術(コンピュータ)同士がやり取りをして、その末端に人間がいるという図式になる。人間は、コンピュータ同士のやり取りを直接コントロールすることはできない。

コロナ禍によって多くの人間が隔離状況になったけれども、インターネットのおかげで情報的な隔離は免れた。

この間に、思想的・運動的背景なしにエスペラントを学ぶ人が増えてきている。インターネット上にDuolingoのような無料学習コースができたおかげもある。

こうした時代の変化によって、エスペラント運動の団体は、入門コースの提供という仕事から、エスペラントを使うサービスの提供へと変化が要請されている。つまり、エスペラントを学ぶことが意味を持つような活動を提供するということだ。それは、Duolingoでエスペラントを学ぶ人たちが増加してきたことへの対応だ。

実は、インターネットができるはるか前から、そのようなサービスはあった。エスペランチスト同士がお互いの宿泊を提供し合うPasporta Servoというサービスである。(向後もこのサービスを使って大学3年のときに2ヶ月間一人でヨーロッパの国々を回った)。このような意味のあるサービスをエスペラント運動が生み出せるかどうかが鍵になってきている。