2025年8月3日(日)
10月18-19日に順天堂大学で開かれるアドラー心理学会・個人心理学会の合同大会で、冒頭の基調対談を頼まれている。相手は鈴木義也さん。その打ち合わせをZoomで行った。90分の枠なので25分ずつ私と鈴木さんが話し、そのあとを対談形式で進めるということになった。タイトルは「アドラー心理学の発展の可能性を語る」。
私はアドラー心理学会(JSAP)がわの代表として人選されたのだろうけど、よく考えたらJSAPの役員でもないし(鈴木さんは個人心理学会の常任理事)、仕事を退いたばかりなので、実はそぐわないことだなあと後悔した(最近後悔することばかりだ)。まあ、でも一度引き受けたことであるし、これをアドラー界での「最終講義」のようなつもりで話そうと思う。これが終わったら、一人の独立研究者として落穂拾いのようなことをしていこうと思っている。JSAPも梅崎新会長になり、体制がととのってきているので、いずれ辞めようと思っている。
25分の基調講演は次のような骨子で話そうと思う。
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・日本でのアドラー心理学は1980年代に野田俊作氏による普及活動から本格的にスタートした。私はまったく別のことをきっかけに野田氏と知り合い、その後日本のアドラー心理学の流れの周辺にいてそれを見ていた。
・野田氏は自身のアドラーギルドを活動の中心として、アドラー心理学を日本の文化的文脈にアレンジし、実践できるように普及活動を進めた。一方で、他の団体(ヒューマンギルドはその代表)に対しては攻撃的になることもあったが、経営的な側面からやむを得ないところもあった。
・文献的には1989年に出版された『アドラー心理学トーキングセミナー』と『クラスはよみがえる』(萩昌子氏との共著)は広く読まれ、野田氏のコアなファンを増やした。アドラーの著作としては岸見一郎氏が1996年に『個人心理学講義 生きることの科学』を翻訳出版した。
・2011年に日本臨床・教育アドラー研究会が発足し(鈴木義也氏は発起人のひとり)、アドラーギルド=日本アドラー心理学会とは別の研究組織が成長する。この研究会は2019年に日本個人心理学会となる。
・2013年に出版された岸見一郎氏と古賀史健氏による『嫌われる勇気』がベストセラーになったことによってアドラー心理学の名前は世間に広く知られるようになったが、その一方でこの本から二次派生した自己啓発系の本が大量に出版されるようになり、それはアドラー心理学を発展させるというよりはむしろ歪めていると言わざるをえない。
・2020年に野田氏が亡くなったことをきっかけに、2021年に日本アドラー心理学会から分かれて野田俊作顕彰財団が作られ、アドラー派カウンセラーや親教育リーダーを養成する組織は、日本アドラー心理学会、ヒューマンギルド、野田俊作顕彰財団の三つとなった。
・そのような中で2025年、日本アドラー心理学会と日本個人心理学会が合同で大会を開くことは画期的である。これは良くも悪くも野田俊作氏を軸として分断されていた日本のアドラー研究者・実践者たちを広くオープンな関係で結びつけるきっかけになるだろう。
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この続き、未来のことについてはまた書きます。