KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【広島2日目】日本アドラー心理学会総会1日目:久しぶりの総会

2023年10月13日(金)

日本アドラー心理学会の総会は午後からなので、午前中は散歩する。近くに二葉山というのがあったので登ってみる。登ってみると二葉山平和塔という仏舎利塔があった。これが夜の新幹線から見える塔だった。

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午後からは日本アドラー心理学会(JSAP)の総会がスタート。私はしばらくの間、会員を辞めていて、2024年に復帰したので久しぶりの総会参加。JSAPはちょうど40周年を迎えるという年だ。受付でTシャツをもらったが、これは登壇者にプレゼントとのことで、ラッキーだった。

JSAPの会員を辞めていたのは、野田先生が亡くなってから、野田派の人々が野田俊作顕彰財団を作って独立するまでは、揉めていたようだったからだ。そうなってから、JSAPがさまざまな改革を行ったので、それに少しでも手伝えればということで復帰した。

実際この大会に参加してみてすぐに気づいたことは、すごく良い雰囲気の大会だということだ。オープンで、暖かくて、安全な雰囲気に満ちている。私の古くからの友人もたくさんいる。ナダムさん、さとこさん、中ちゃん、梅ちゃん、禎さん……。そして、いろいろなところから私を呼んでくれる人たち。さらに新しく入ってきた人たち。和やかな雰囲気。

現在の会員数は800超。安定的な運営のためには1000人は必要だろう。これからもっと会員数が増えていってほしい。来年の総会は盛岡で開かれる。



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最初のシンポジウムはEOLECTについて。これはPassageが顕彰財団の運営になったので、JSAP・リエさんが独自に開発した親教育コース。その全体像がよくわかるシンポジウムだった。Passageの課題シートはホームワークとして継承してあるけれども、そこに自分が感じたこと、考えたことを書く欄があることが違いを生んでいるようだった。また、ホームワークに対するフィードバックが早いことも「伴走してもらっている感じ」を生んでいるようだ。

これからさらに、より多くのところで実践が行われ、その検証をして改善に繋げていくことが重要だ。

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夜の自主研究グループは、パワハラを考えるグループに参加した。舛上くんがメインのプレゼンターで、社会契約論(ホッブス、ロック、ルソー)の話からハラスメントがなぜ起こるかを説明してくれた。こういう話はなかなか聴く機会がないので勉強になる。

ハラスメントをする人は劣等コンプレックスを持っていて、そのために権力を必要以上に濫用してしまう「勇気のくじかれた」状態にあるというのが彼のポイント。ここからどうすればいいのかという議論になる。勇気のくじかれた人に寄り添うべきであるとしても、それをどのようにすればいいのかという点を巡って、実際にハラスメントを受けたり、それをみてきた人からの意見が出されて面白かった。

人のポジション(権力)を自分の能力と誤認してしまいがちであるという事実が重要だ。そのためには自分の権力が「与えられたもの」であるということを本人も周りの人もいつでも確認することが必要だろう。橘玲は『幸福の資本論』の中で、「ハラスメントは上司と部下が直接契約していないからこそ起こる」と言っている。そこまでできなくても、いつでも「権力が借り物」であることを確認することで未然にハラスメントを防げるかもしれない。

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そんな感じで1日目終了。今日は宴会もなく、明日のために平穏に解散。