社会文化的アプローチの実際―学習活動の理解と変革のエスノグラフィー (シリーズ社会文化的アプローチ)
- 作者: 石黒広昭
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2004/09
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
子どもは自らスプーンを発明しない。子どもの前に差し出されるスプーンは社会歴史的に練りあげられたアーティファクトである。その使用は物理的特性、それを持つ人間の身体的特性による制約を当然受ける。その熟達化は身体と食物がスプーンに媒介されることによって、1つの行為システムとしてスムーズにつながっていくこと、言い換えればその間に協調関係が形成されることを意味する。だが、その協調関係はさらに「食事」とよばれる社会的なできごととして方向づけられ、価値付けられ、評価される。
ヴァルトフスキーによれば、人工物は3種に分けられる。第一次人工物は、生産に直接用いられるもので、オノやノコギリなどがそれにあたる。第二次人工物は行為や信念を保存・伝達するもので、レシピ・規範・法律などである。第三次人工物とは相対的に自立的な世界を構成するようになった人工物の類であり、文化モデルやある場所に特有な知識としてのスキーマやスクリプトを指す。
- 人間の活動をとらえるには、活動システムが分析の単位として用いられるべきである。
- 活動システムは、主体、道具、対象、共同体、ルール、分業の6つの構成要素から構成され、そのシステムと構成要素は歴史的に理解されなければならない。
- 活動システム内の矛盾、混乱、葛藤は、その活動システムが発展していく源泉として理解されなければならない。
アプローチの方向はわかる。でも自分はこうした方法を取らないだろうと思う。