KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

夢大学

 はじめて夢大学で講座を開いた。夢大学とは、中学生と高校生を対象にして一日か二日の講座を受講して、大学を体験入学してもらおうという企画だ(並行して社会人を対象にしたものもある)。大学の紹介と、入学者集めの両方の性格を持っている。一週間前には、定員10人のところに7人しか集まっておらず、寂しい気持ちであったのだが、講座の前日に教育工学の大会から戻ってみたら、受講生が16人に増えたという連絡がはいっていた。私と二人のマスター生には、大会の疲れも残っているし、台風間近の嫌な天気だったのだが、がんばってみた。

 受講生の内訳は、次の表のように高校3年生が半数を越えていた。聞いてみると、富山大学教育学部に進学して、教師になりたいというひとがかなりいた。今回は、教育学部から提供された講座は二つしかなかったので、それでこちらを選んだという人が多かった。受講生が増えたのはこのせいかもしれない。毎年教育学部からの開講は少ない。工学部の活発さに対比すると、こんなところで、将来の人材の育成を考えて力を入れている工学部と、衰退する一方の教育学部の原因が見えてくる。

 さて、受験間近の高校生から中学一年生まで集まった講座で何をやるかは考えどころだ。ずっと前に決めた「人はコンピュータと一緒に何ができるか〜これからの学びの形」というタイトルはあまりにも漠然としているし、講義ばかりでもきっとつまらないだろう。ということで、内容をかなり変えて、「心理学による恋愛必勝法」というもので準備した。タイトルは軟派であるが、内容は心理学の実験をふんだんに引用した科学的なものだ。その感想を拾ってみよう。

  • 実際すごくおもしろくて、心理学に興味が持てた。先生たちもおもしろかった。それに今日やったのは、これからの人生にすごく役に立つと思うし、参考になったので良かった。恋愛ときいて少しはずかしいような楽しいような気分だったけど、心理学で分析すると人を好きになるのも、いろいろ周りの影響があるのだとわかって、これからはもっと自分を冷静に見られるところも出てくるとおもうし、相手への対処とかも少しわかったのでためになったと思う。(高1女)

 これは代表的な意見で、ためになったという人が多かった。また人間の心を科学的に分析できるということで、新しい発見をしたような気持ちになった人が多かった。

 次のような感想を読むと、高校生も大変だなあということを感じる。早く大学に来て好きな勉強をしてね。

  • もともと心理学には興味があったので今日の講座の内容は私にとってはうれしい内容だった。今まで自分が何となく抱いていた感情がちゃんとした根拠があるものだということを知って驚いた。高校の授業もこうだったらいいなあと思った(無理なことですが・・・)。毎日大学入試や勉強のことについてしかいわない学校や塾の授業ばかりなので自分が興味の持てる内容であるのがとてもうれしかった。(高3女)

 タイトルからもコンピュータを全然触らないのも申し訳ないということで、恋愛講座は午前で終わり、午後からは名刺作りをすることにした。まあ、実験をしなかったので恋愛講座が予定よりも早く終わってしまったというのが正直なところなのだが、これが結果的にはよかったようだ。お昼休みには、ブラウザとサーチエンジンの使い方を説明して、ホームページを自由に見てもらった。次のような意見が代表的なものだ。

  • 午後からは名刺づくりをした。とても真剣になってしまって手と目が少し痛い。マッキントッシュが欲しくなった。インターネットもすごくおもしろかった。私はいろいろなインターネット【ホームページのこと】を見た。私も作ってみたいと思った。(高1女)

 全体としては、最初のタイトルと内容が違ってしまったことは否めない。それについて不満が残った人もわずかながらいたので、それは申し訳なく思っている。

  • 僕は、人とコンピュータの接点みたいな所をこの体験入学を通して学ぼうと思った。しかし実際は違っていて・・・それはそれで良かったとしても、目的を持ってきた僕にしては、大変残念なものだった。(高3男)

 今回は初体験ということで大目に見て欲しい。来年はきっちりとできるでしょう。

 全体としては、好評だったのでほっとしている。次のような、また来たいという感想を読むと疲れも吹き飛ぶ。

  • ここにきてよかった。いつかまたこんな機会があったら来てみたい。(高1女)
  • 今後またこのようなものが行われるのなら再度参加したいと思う(高3女)
  • 今回の富山大学見学は思っていたよりも内容が楽しく、来て良かったと思いました(高3女)
  • またこういう機会があれば参加したいです(中1女)