KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

日記+掲示板というシステム

 Web日記を読んでいると、日記本編に付随して掲示板を開設している場合が多い。私もそうしている。日記なのだから完全に書きっぱなしであってもかまわないわけであるが、そのままにしておくのは何となく居心地が悪いし、何らかの反応が返ってくれば、うれしいという心理も働く。また日記本編で誤解を招くようなことがあれば、掲示板で本意を説明することもできる。日記+掲示板というシステムはなかなかよく機能している。

 多くの掲示板はわきあいあいとしていて良い雰囲気である。ニフティなどの会議室でよく見られるような論争---バトル---はめったに見ることはない。その代わりに掲示板は日記主催者を賛美するメッセージで埋まる。これは論理的に考えれば自然なことだ。もともとその日記を読みに来る人たちはその日記のファンであるし、さらに掲示板にまで書き込もうという人は大ファンであるに違いないからである。こうして掲示板のメッセージは賛美のそれが99%を占める。

 残る1%は反逆のメッセージである。その日記に書かれていたことがあまりにも自分の考えと異なっているがために「これは一言言わねば」と思う場合である。これは実に正しい掲示板の使い方である。そうした人にも掲示板は等しく開かれているからである。しかし、そうしたメッセージがひとたび書かれると、まわりの99%の賛美メッセージとの落差の大きさからどうしても浮いてしまうのである。まして、その掲示板ではホストは日記オーナーであり、反逆者はゲストなのである。ゲストはゲストなりの礼儀正しい振る舞いをしなければ、今度は他の99%のゲストから反撃をくらうことになる。いずれにしても反逆者には分が悪い。

 もし掲示板を使わないとすると、自分の日記において反論を展開することができる。他人の日記の内容をネタにして、自分の日記でイチャモンをつけることを日記テロルと呼ぶそうだ。何となく恐ろしげなネーミングである。この背景には、他人の日記にイチャモンをつけても仕方ないのにそれをわざわざやる変な人、というニュアンスが含まれているのかもしれない。まあ確かに変な人もいるかもしれないが、自分が日記で表明した考え方に対立する別の考え方が提示されていると考えれば、別段悪いことではない。そこからまた新しいアイデアや見方が出てくる可能性があるからだ。

 しかし、あちらの日記とこちらの日記で論争するのもいささかまどろっこしいものではある。開かれた論争の場---バトル・フィールド(?)---のようなサイトがあれば、このニーズに応えることができるかもしれない(ニフティは有料だしね)。まあ、そこまでしてバトルをやる人もいないかもしれないな。Web日記ライターは(分散はともかく)平均値で見れば非常に穏健な人たちのように私には見える。