今日はセンター試験の二日目。試験監督に当たっているので出勤している。
昨日の夜、NHK-BS1で「BS討論」という番組を見た。大学改革をどうするかというテーマを扱っていた。討論者の中では、東工大の橋爪大三郎さんとテキサス・インスツルメンツ(TI)の社長が切れ味の鋭い意見を出していた。
たとえば、大学の授業をどうしたら学生にとって面白いものにすることができるかという話題。九州大の先生は、「すでに固まった知識を伝達するから面白くない。そうではなくて、研究の最先端で先生自身もわからないようなところを一緒に考えていくことで授業は面白くなる」という実にもっともな意見を出した。TI社長はすぐにそれに反応して、「それは古い考え方。基本となっている体系をどう教えるかが問われているのだ」と。橋爪さんもそれに付け加えて「自分のやっている研究を第三者の目で見てどうなのかということを考えながら授業を構成することが必要」と。
確かに大学の先生はそれぞれに自分にとって興味のある研究をしているわけだけれども、たとえそれが研究の最先端だとしても、学生にとっては興味がないことも十分ありうる。そこをまず認めることが必要だ。それを認めた上で、自分の教える内容と現実の社会や時代とのすりあわせが必要になってくる。今、自分が学んでいるこのことが現実社会に投影したときにどういう位置づけになるのかということがはっきりとわからなければ学習はおこらない。ARCSモデルでいうところの「R=Relevance 関連性」ということだ。そこを常に問い直して授業をすることによっていい授業ができるのだろう。
いくつか重要な提案がなされていたのでメモしておく。私自身はこれらの意見に賛同している。
- TI社長:「総合大学」の時代は終わった。大きすぎる組織は意思決定が遅くなる。カレッジ制への移行を考えるべきだ。
- 猪口さん(上智大学):日本でも大学のランキング評価が行われるようになってきたが、大学全体としての評価ではなく、細分化された専門分野でのレイティングが必要だ。そのことによって大学の個性や専門性が出しやすい環境になる。