- その先生は「教育は不平等だ」と言うのね。
- それはまた大胆な発言だなあ。教育を仕事にしている人にしては。
- 現実問題として、教育は不平等だと。
- ふむ。
- そんなことは学校でどの先生に習うかを見れば明らかだと。
- なるほど。確かにどういう先生に習うかでずいぶん違うからなあ。
- 特に大学ではどの先生につくかで天国と地獄くらいの違いがある。
- 確かに初等、中等教育ではそれなりに先生の水準が決まっているし、あまりひどいことはできないようになっているから。まあ逆に言えばすごくぬきんでた先生も出にくくなっているわけだけれど。
- 一方、大学では自分をあまり教育者だとは思っていない人がけっこういる。
- ゼミ生を自分の奴隷のように使う人もいるからなあ。
- 反対に、用意周到に研究テーマを用意しておいて、それとなく学生に渡すような先生もいる。学生に「これこそ自分のつかんだテーマだ」と思わせるようにね。
- うーん、いい先生だなあ。
- ま、「先生」と呼ばれるような人種にはいろいろな人がいるということだよ。だから「教育は平等」なんて言葉に乗せられてはいけないということだ。
- 学生は自分にとっての良い先生を見分けられるような目を養わなくてはいけないということだね。
- そう、「教育はもともと不平等だから、先生を厳しく見分けろ」ということだ。
- どんなひどい先生でも60点の教育ができるような方法を提供する「教育工学」の出番があるはずなんだけどなあ。
- まだ日本では教育工学的な考え方は広まっていないから仕方ないね。
- 教師の品質管理という考え方もないね。研修は好きなんだけれど。
- とりわけ日本の教師文化がそれを受け入れないね。また教育学にもそれはない。
- やはり生徒を送り出す側のニーズとずれているような気がする。
- それに気がつくまでは「教育は不平等」をよく認識しておく必要があるわけだ。