KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

電子教科書の問題

電子教科書の問題も旬のトピックである.次のような研究発表があった.

私自身は,電子教科書のポイントが,紙への印刷から液晶スクリーンに変わっただけであるならば,何ら問題にならないと考えている.教育工学領域で昔から言われているように,「媒体が変わっても,教育効果は大きくは変わらない」からだ.

そのことが問題なのではなく,電子教科書に次の機能がはいるかどうかが問題なのだと思っている.

  1. インタラクティビティを入れるかどうか
  2. 学習ログを取るかどうか
  3. ソーシャル化するかどうか

インタラクティビティを入れた教科書には大きな可能性がある.理科の実験のシミュレーションや,計算問題を各自が解いて,個別のフィードバックが自動で行われたりするなら,大きな効果があるだろう.先生の負担も減り,クラスマネジメントがしやすくなる.

生徒・学生が,電子教科書をどのくらいの時間をかけて,どの部分を読んだか,また練習問題をいつ解いたかなどのログ情報が自動的に収集され,それが「教育クラウド」に集積されるなら,先生がそれを参照して,個別にアドバイスをすることも可能になる.ログの扱いには注意が必要だが,うまく利用すれば,教育効果は高まるだろう.

電子教科書で,わかりにくいところや,質問とその回答,間違いやすいところ,重要なところ,補足情報,アップデート情報,などがソーシャル化され,それが学校を超えて共有されるなら,それは,先生にとっても,生徒・学生にとっても役立つだろう.

以上のように,「紙かスクリーンか」というところが問題なのではなく,電子教科書とその背後にある教育クラウド(それがどのようなものになるかよくわからないが)の機能こそが,検討すべき問題であると思っている.