KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

コーチング・ビジネス

 雑誌を読んでいたら、日本でもコーチング・ビジネスが出てきたという。もともとはアメリカで発生したらしい。これは、お客さんのやりたいことについて、助言をしたり、指針を与えたり、励ましたり、相談に乗ることによって報酬を得るという仕事のようだ。対面でなくても電話などでコーチすることもできるので、ビジネスとして成立させることができる。カウンセリングの仕事版ということか。こう考えれば、カウンセリングは生き方に関するコーチであるとも言える。なんでもビジネスにしてしまうアメリカらしい商売である。

 もともとスポーツの世界ではコーチは当たり前の存在だった。最近ではプロ、アマを問わず、コーチング・スタッフの重要性が認められてきている。よく考えれば、スポーツ以外の仕事でも、コーチがいてもいいわけであるし、コーチがいれば一人で悩むことも少なくなる。ビジネス書というのは一種の紙版コーチだと考えられるが、生身の人間から助言をもらった方がよほど元気づけられるだろう。

 家庭教師というのは勉強に関するコーチだと考えることができる。教えるべき内容は、教科書や参考書に書いてあるのだから、家庭教師はそれをかみ砕いて説明したり、勉強のペースを作ることを手伝うという役割になる。学校の先生も、昔は教材が貧弱だったのでその翻訳や翻案をして生徒に伝えるという仕事が中心だったけれども、よい教材が豊富に出てきている今では、コーチの仕事が中心になっていくと考えた方がいい。

 コーチとして仕事を始めるための教育コースがすでにできていて、それはお金も時間も投資に値するだけかかるのだろうが、それを通過することによって開業することができる。こういったシステムもアメリカ流教育工学の得意とするところだ。

 とすれば、少子化の影響で教員養成系大学の学生定員は縮小を余儀なくされているのだけれども、教員養成系は教員を養成をするのではなく、コーチング・ビジネスの人材を養成するという方向に転換、拡大していってもいいのではないか。先生もコーチもその本質的な役割において共通性がたくさんあるし、また、これまで特殊な職種として扱われてきた教員というものが、実はビジネス社会ではコーチという職種に相当するのだということが認識されることによって、よりよい教員養成ができる可能性もあるからだ。