KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

海で泳ぐことと心の平和

 梅雨も明けたようで、ここしばらく暑い日が続いた。となれば、海である。妻の実家から車で15分ほどのところに海水浴場がある。地元の人々だけが行くような小さな海水浴場である。土日でも高々30人程度が泳いでいるようなところ。海の家も半分くらいは閉まっていて、なんとなく落ち着いた気分になる。外にむき出しのシャワーもただで使える。実に金のかからない海水浴場。

 そこに陽の傾いた夕方から出掛ける。日に焼けないためである。通は夕方から泳ぎに来る。夕日を見ながら、のし(横泳ぎ)でゆっくりと流すのは、今風に言えば、ヒーリング度が高い。海との一体感がわいてくる。心が原始時代に戻るような気がする。クラゲにでもなったような気分。疲れたら、顔を空に向けてゆらゆらと浮いているだけにする。

 プールで泳ぐのと、海で泳ぐのとは全然違う。プールでは水の中にはいれば泳ぐことが義務になる。しゃかしゃかと泳がなくては、ならない。プールでのしをするのはかっこわるい。下手すると溺れているように見えて、監視のお兄さんからホイッスルを吹かれることすら、ある。だからプールで泳ぐのは嫌いだ。プールで泳ぐならクロールだ。しかし、やってみればわかるが、クロールは不自然な泳ぎ方である。あれではすぐに疲れてしまって、長く泳ぐことはできないと思う。

 のしであれば、1キロメートルくらいは泳げるような気がする。こんなに楽な泳ぎ方をなぜ今の学校は教えないのだろうか、不思議である。のしと立ち泳ぎを覚えてしまえば、足の付かない深い海でも怖いということはない。

 海で泳いだ後は、身体がけだるくなる。精神もぼんやりする。そして、これこそが海水浴のあとの醍醐味だ。難しいことは考えられなくなる。すべてが、どうでもいい、とるに足らないことに思えてくる。そして心は平和な気分に満たされる。