KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ウィルソン・ブライアン・キイ『メディア・レイプ』

 最初に探そうとしていた本は、『メディア・セックス』と『メディア・レイプ』のウィルソン・ブライアン・キイの本だった。心理学の授業で「サブリミナル効果は本当にあるのかどうか」という質問が出ていたので、その材料として。

 『メディア・レイプ』の中にこんな一節を見つける:

ただイエスとノー、真と偽、あるいは正と誤という答えしかないような問いは、人間の知性とは無縁な言語を構成する。それらは単純素朴な人々に対して仕掛けられた罠なのだ。言語的に構成されたジレンマはほんとうのジレンマではない。たんなる操作にすぎず、通常それにコミットするものがすべて敗北するようにできている。ジレンマを作り出したものが勝つのだ。彼らがコントロールする広告とメディアの内容には、こうした偽のジレンマがぎっしり詰め込まれている。

(中略)

排中律的対立という言語的構成の外側にいるようにしたまえ。二分法のなかに引き込まれたとたん、人はコントロールを失ってしまう――もっとも、そもそもなんらかのコントロールをもっていたらの話だが。競争相手を混乱させるには、積極的な否定よりむしろ受動的な否定の方が効果的である。成り行きを見守ってみよう! 観察してみよう! 考えてみよう! 比較してみよう! 評価してみよう! 他の選択肢や見方も試してみよう! そしてなによりもリラックスしよう。行動が明らかにあなたの利益になると分かっているときにのみ行動しよう。もっとも重要で、つねに実行可能な選択肢を考慮しよう――すなわち、何もしないでいよう。(p.331-2)

 キイのアドバイスは今でも有効だ。あるいはメディアに接触する比率が飛躍的に大きくなっている今こそ、そして将来にわたって有効だというべきか。