KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

無料Web講座の意味

 「このコーナーだけは安心して楽しむことにしよう」ときのう書いたご長寿早押しクイズだったが、どうやらこれもヤラセというか映像編集上のインチキをしているようだという情報を複数の方からいただいた。となると、「からくりビデオレター」も怪しくなってきた。番組スタッフが台本を書いているのではないか。そうやって見ると、そう思えてくるから不思議である。もう純粋な気持ちでは、笑えなくなってしまったな。がっくり。こんな視聴者は今どきナイーブすぎるのだろうか。

 話はかわって、『日経MAC』の4月号にこんな記事。アメリカで、C++の無料講座がWebで開かれていて、1万人以上が登録したという。この無料講座の目的は、ひとつにはプログラマーを育てるということだ。プログラマーが多くなればC++の言語ソフトのユーザーが増えるということになる。もうひとつは、ソフト購入者へのサポートのコストを削減できることだ。ユーザーが自分で勉強してくれれば初歩的な質問の数は減るだろう。そうなればユーザーサポートにかかるコストを削減できる。

 この記事を読んで、すぐに思いついたことは、プログラミング言語の無料講座があるなら、統計パッケージの無料講座があってもいいな、ということだ。SPSSSASといったところがメジャーな統計ソフトだが、無料講座があればもっとユーザーが増えそうな気がする。私の愛用はMac版のStatViewだが、これもそういうのがあればありがたい。ゼミ生に受けさせたい。

 しかし、こういう無料Web講座がどんどん増えてきたら、大学が開いている授業のうちかなりの数がこれに取って代わられるのではないだろうか。もちろん対面の講義形式や、実験実習などはある程度そのまま残るだろうが、それ以外の大部分の授業はWeb講座でもできるのではないか。とすると、これからの大学教員の死活問題にもなってくるだろう。

 逆に考えれば、大学はこのような無料Web講座をどんどん開発していくべきだともいえる。実際アメリカの大学ではたくさんのWeb学習コースが公開されている。これは大学の生き残り策の重要なひとつとしてとらえられているからだろう。つまるところ、ひとつの大学がリソースとして売りにできるのはそうしたコンテンツだ。その大学、その教員だけが提供できるようなユニークで面白い学習コース、それをどれだけそろえられるかということがクリティカルになってくるような気がする。

 単位互換制度が盛んになりつつある。単位互換をする大学は地理的に近い場合が多い。学生の側からすれば、わざわざ遠い大学に授業を受けに行くのは現実的ではないからだ。しかし、授業の内容がWebコースで提供され、その成果を測る確認試験を自分の大学で受けられるようにすれば、どんな遠い大学のWebコースでも活用することができる。そうなれば地理的な条件に関わらず単位互換ができることになる。近い将来、きっとそうなるだろう。