KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

インストラクショナル・デザイン

今日、明日と、富山大学で、教育工学協会の大会が開かれている。

懇親会のあと、岩手から来ている鈴木克明さんと、出版社の人とで飲みに行く。話は、「教育工学の本を出版するとして、売れるかどうか」という話題になった。

私自身は、大学で今ブームになっているFDに乗っかれば、買ってくれる人はたくさんいるのではないかと思う。しかし、それではマーケットが狭い。一番いいのは、小学校、中学校、高校の現職の先生が買ってくれることだ。

「でも、現職の先生は買ってくれないだろうね」。なぜなら、彼らには自分の教育現場を使って研究をすることへの誘因がないからだ。研究をして、論文を書いたからといって、それが学校の中で評価されるわけではない。彼らがたとえば校長になるためには、論文の数ではなく、管理能力が要求されるのだという。

しかし、研究論文を書かないにしても、毎日の授業をやるのに、教育工学はとても役立つ学問なのだが……。

だいたい「教育工学」というネーミングがあまり良くない。「工学」から想像されるものは、機械やハード的なものだ。しかし、教育工学の実際の内容は、もちろんハード的なものも含んではいるけれども、中心はソフト的なものなのだ。インストラクショナル・デザイン(教授設計、授業のデザイン)が教育工学の中心だといってよいだろう。デザインという単語はソフトなものを連想させる。

しかし、「インストラクショナル・デザイン」というキーワードもまだ一般的には広まっていない。かえって、意味のよくわからないもやもやしたキーワードの方がいいという説はあることはあるのだが。