KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

脳卒中

富山から妻と子どもが来ている。

羽田で出迎えたあと、所沢行きの高速バスに乗る。電車で行くと、少なくとも3度は乗り換えをしなくてはならないので、乗り換えなしのバスは便利だ。羽田〜所沢便は、今までは早朝と夜のみだけだったのが、最近昼も運行するようになった。

池袋を過ぎ、戸田に近づいていた頃、後ろの方の席でうめき声がした。見ると、1人の中年男性が体を硬直させて、けいれんしている。そのうち、口の中を噛んだのか、血の混じった唾液を流し始めた。乗客は私たち家族を含めて8人くらいしか乗っていなかったが、みんな「運転手さん、どこかで停めて」と訴えた。私は、応急処置も何も知らないが、ともかく彼の隣の席で見守った。

そのうち、彼は目を閉じ、いびきをかきはじめた。これは脳卒中かもしれない。バスは戸田で高速を降り、運転手は携帯で救急車を呼んだ。そのうちに、一時は顔面蒼白だった彼の顔には血の気が戻ってきた。目を開けたので「だいじょうぶですか?」と聞いたが、何も答えられない。目も見えているのかどうか。

救急隊が来て、彼を連れていく。とうぜん歩けない。バスの中には担架が入らないので、ビニール製のシートで彼を運び出そうとする。通路は狭いし、彼は重い。私も手伝ったが、こんなにも重いものかと思った。

翌日、腰を痛めたことに気づいた。あの人は無事だったろうか。