KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

GTA続き

また筆者は、質的研究には、「自分の関心に都合のよいデータ部分だけをえり抜いて結果をまとめたのではないか」(p.203)=逸話主義という批判があるという。それは、質的データの分析が「数量的研究法における統計学のように外在的評価基準がないから」(p.68)であり、「質的研究論文は現在のところ、場合によってはこうした綱渡りのような不安定な位置におかれる」(p.68)と述べているのだが、同感である。

GTAの続き。この逸話主義は、よくいわれるし、以前の私も一番引っかかっていたところだ。端的に言えば、「プロジェクトX」になっちゃって、いいの?ということだ。

しかし、この前の木下先生の話では、GTAによって構成された概念は、説明力と予測力を持たなければいけないと断言していた。ということは、逸話主義であろうがなんであろうが、その成果として得られた概念モデルが説明力と予測力を持っているかどうかだけで勝負がつけられるということだ。うん、それならそれでいいんじゃないかという気がしている。しかし、そこまでいうなら、論文中で、提案された概念を別の場面に適用して、うまく予測できました、ということを示さなければならない。そこまでして、論文として完結すると言うことだな。