- 作者: 西川純
- 出版社/メーカー: 大学教育出版
- 発売日: 2001/07
- メディア: 単行本
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大学生の時、「一流の研究とは何ですか?」と質問したことがある。その先生によれば、「ある現象が存在する/しないを明らかにする研究が1流。その現象を有効数字1桁で記述する研究(即ち、1なのか2なのか3なのかを明らかにする)が2流。その現象が1であることが分かっているとき、有効数字2桁で記述する研究(即ち、1.1なのか1.2なのか1.3なのか)が3流。」と教えていただいた。
この本は、教育を研究対象として実証的な研究を行い、それを卒論や修論、学会発表、投稿論文にまとめようとする人の非常に親切な手引きです。しかも、著者の教育研究に対する姿勢と哲学が裏付けされていて一貫性があります。
計画の立て方からはいり、統計的な分析の仕方(質的研究法についても「それでも質的研究をやりたい人のために」という章で言及があります)、最後に論文の書き方まで面倒を見てくれます。
教育研究のおもしろさは、その仮説が教師・生徒としての日常経験から作られる部分が大きいことである。逆に言えば、自分自身が何を語りたいかが無ければどうしようもない。
意外なことかも知れないが、実証的研究においては調査が終了した段階で全研究の70〜90%は終えている。ときには、九分九厘終わっている場合もある。それは計画の段階で、その分析を予期し、その結果も予想しなければならないからである。
関連項目
- 現場教師が研究論文を書くために http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050822/p1
- 臨床心理における事例研究 http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050428/p1
- グラウンデッド・セオリー http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050419/p1
- 質的研究法 http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050504/p1
- 非実験系の論文作法 http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050103/p1