KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

「卒論は何を書くの?」

辻先生の日記より引用。

大学人は、大学の社会的存在意義を、もっときちんと訴えていくべきだろう。
就活の時期を大学の授業期間中に設定するほど、大学の授業なんてのは役に立たんもんだとみくびられている。
そのくせ、面接で「卒論は何を書くの?」なんていけしゃーしゃーと訊きやがる。
授業を妨害しといて何を言う。

その昔、就職協定なんてものがあったときには、名目的ではあったが、一定の歯止めにはなっていた。調べてみると、就職協定は1997年度で廃止されたようだ。当時は、「就職協定は名目にすぎなくて、裏では青田買いがどんどん行われている。そうであれば、全部をオープンにした方がフェアである」というような論調だったと思う。しかし、その後の経過はご覧の通りで、歯止めというか目安になるものがなくなり、どんどんと就職活動は前倒しになり、その結果として、大学生としての4年間は実質的な目減りを起こしている。落ち着いて何かに取り組むという雰囲気はなくなった。

もちろん、大学でやることが社会にどうつながっていくかという関連性(relevance)を教員が説明し、同時に、学生が自分で見いだしていくことは大切だ。しかし、関連性については、すぐに説明のつく学問領域もあれば、遠い道のりを説明しなければならない領域もある。そもそも、その道のりを了解することこそが学生にとっての最初の課題である場合も多い。道のりを理解するには、学問領域の全体像をまず勉強しなければならないからだ。それには時間がかかる。大学の4年間で、そのために確保できる時間はこれからますます短くなっていくだろう。