- 作者: 京都大学高等教育教授システム開発センター
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2002/04
- メディア: 単行本
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授業は、そこにかかわる授業社と学生との作り出す関わりの文脈が命である。おおよそ主観的な一般的授業法則を実証的に確かめるということも必要ではあるが、そこで得られるあまりに単純化された知見は、こうした実践授業を前にすると、その無力さを容易に露呈する。
実践活動にミクロ的に即した大学授業の研究を通して、大学教育学の確立をねらおうと編まれた本。何か方法論的なヒントを得たいと読んだが、ピンと来るものがなかった。実践に即しているというのはよくわかった。研究方法としては、いろいろ使っていることも。米谷淳さんが書いている「5章 大学教育への映像メディアの活用」だけはその内省的な語りが個人的にはぐっと来た。
混沌としているのは、たぶん全体をまとめるべき総括の章が混沌としているからだろう。正直なところ、何を言おうとしているのかわからないところが多くあった。哲学はもっとわかりやすく語ってもらわなければ、読み手は苦労する。
上で引用した部分は、同意の意味での引用ではない。たぶんその出発点が違うから、ピンと来なかったのだろう。授業というのは複雑系で、どうなっていくかは予測不可能だが、個々の受講生や教員の動きは割と単純な原理で動いていると考えている。そして全体は予測不可能とはいっても、ある程度の予測範囲内に落ちるということも予測できると思っている。