- 作者: ジム・コリンズ,ジェリー・I.ポラス,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1995/09/26
- メディア: 単行本
- 購入: 33人 クリック: 196回
- この商品を含むブログ (272件) を見る
「ビジョナリー・カンパニーには、ビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である」という神話を壊す本。それを「時を告げる」カリスマではなく、「時計を作る」組織こそが、生き延びる、という比喩で一貫して主張する。
すばらしいアイデアや製品にこだわるのではなく、組織についてのビジョンを考えよう。なぜなら組織こそが究極の作品だからだ。そして、そういう組織は基本理念を持っており、それが社員の指針となり活力を与えている。基本理念は変わらず、守られるが、それを表す具体的な行動はいつでも変更され、発展させられる。
進歩を促すための具体的な方法には
- 社運を賭けた大胆な目標(BHAG)
- カルトのような文化
- 大量のものを試して、うまくいったものを残す
- 枝分かれと剪定
- 小さな一歩を踏み出す
- 生え抜きの経営陣
- 決して満足しない
- 顧客の意見を聞くと、心から満足していることはない
- 黒帯は出発点
があるが、もっとも注目すべきは「カルトのような文化」だ。確かに、ビジョナリー・カンパニーには、理念への熱狂、教化への努力、同質性の追求、エリート主義といった、カルトに共通した点が見いだせる。しかし、カルトのような文化に対してバランスを取るものとして進歩を促す強烈な文化を置くことで、カルトとは一線を画す。
門外漢の私にはここで取られた研究方法論もまた面白かった。
「生き延びた会社に共通する特徴は何か」という問いに対して「自社ビルを持っていること」を見つけ出してしまうような落とし穴がある。それを避けるには比較対象グループが必要で、その上で本質的に違う点は何かを見つけ出す。
会社の歴史を比べること。現在の姿だけを比べるのは、マラソンの最後の30秒を見るようなものだから。
研究のフィードバックループ。「調査→概念と枠組み→現実世界への適用→調査へ戻る」というようなループを何度も繰り返す。
社会科学の方法として。会社を純粋培養するわけにはいかないので、現実の歴史の中から、メッセージを探し出す。それについて、上記の研究フィードバックループの中で常に妥当性を確認する。