KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【ブログ】初めてのワーケーション@網走でわかったこと

2022年10月15日(土)

10月9日(日)から4泊5日で網走市に滞在しました。ワーケーションというやつです。ワークしてバケーションなんて、そんな都合のいいことができるのかどうか試してみました。

これがよかったら、このあとまた企画したいと思っています。ちなみに佐賀のワーケーションはもう決定済みです。そのあと、沖縄にも行きたいなと思っているのです。

単に場所が変わるだけで、ずいぶんいろいろことを考えますね。ふだん考えもしなかったようなことを思いついたりします。そんな効果があるのでしょう。あとは、新しい人に出会うチャンスがあります。これも新しい発想を産んでくれるかもしれません。

## 網走の町

網走の町は、おおよそサイズ感がつかめました。昨日のアドラーカフェで、eスクール在学中の伊藤さんが、ブラタモリ的に街歩きをしてくれたおかげです。

他の地方都市と同じように、人口減少による商店街の寂れ感はありますけれども、公共施設は立派で、個性的な店があり、いい感じです。特に東京農業大学生物産業学部(オホーツクキャンパス)の若い学生たちが住んでいるのが大きいのかなと思いました。

昨日の夜は、夕食を食べたあと、冨永さんと軽く運動をしようと、歩いて15分くらいのところにあるボーリング場「ヤングボウル」に行きました。卓球ができると書いてあったからです。

古びた外観からまったく期待していませんでしたけど、中はすごく整備されていて、きれいな卓球台が5台くらいと、ビリヤード6台、もちろんボーリング場もありました。お客は多くありませんでしたけど、若者がボーリングに興じていたのが印象的でした。

## 午前中のワークの様子

ワーケーションの時間割は、午前の9時から12時がワークの時間、午後の13時から17時がレクリエーションの時間としています。ここ1, 2年は早起きになったため、午前中で仕事を終わらせるという生活習慣になっています。それをそのままワーケーションでも続けるという感じです。

ワークの場所はドーミーインのすぐ近くにある、オホーツク・文化交流センター(愛称:エコーセンター2000)という施設です。これがすごく立派な施設なのです。網走市では公共施設にかなり予算投下されているという感じです。箱物だけでなく、中で行われている市民活動も活発で、施設が活かされているなという感じを受けました。

この施設の中の研修室(使用料1時間600円)を、はこだて未来大学の富永先生と2人で使用しています。ホワイトボードがあるので議論しながらの仕事がはかどります。

3日目のワークでは、次のようなことを話し合いました。

1. 2023年度の科目「スタディスキル」の授業内容の検討
2. 退職後に何をして生きていくか

1.の議題は実務的なことですけど、2.の議題は直接仕事には関係なく、人生の問題です。2人とも定年が数年後に控えていますので、お互いのビジョンの交換をしてみました。

こういう人生に関する話は、こんな機会にしか話せないかもしれません。やってみてすごくよかったです。こういう時間を持つことが実は必要なのではないかということに気づきました。

ワーケーションというと、1人でするものというイメージがありますけれども、少人数複数人でするのもいいです。複数人でするときは、大きな話題で議論をすると面白くなります。

## 目的も成果もない活動こそが鍵

4日目の午前のワークは、冨永さんと研究についての議論をしました。冨永さんは2023年度までの科研費があり、私は2022年度までの科研費があります。私は今持っている科研費を2023年度まで延長する予定ですので、2人ともちょうど同じ期間で研究をすることになります。

ここまで、主に成人を対象とした、社会情動的(=非認知)スキルの育成プログラムを開発することを目的に先行研究の調査や理論的枠組を整理することをしてきました。最終年度の2023年度は何とかプログラムを形にしなければなりません。

2時間余り議論した結果、「目的もない、成果もない活動」こそがプログラムの中核になるという結論に達しました。たとえば、劇(演じたことそのもので満足する)、キャンプ(焚き火をして、飯を作って食うだけ)、路上チョークアート(ただ好きなものを描くだけ、そのあとは消えてしまう)といった活動です。

これは、「目的を明確にし、成果を生み出す」ことがすべての活動に求められている現代の思考様式へのアンチテーゼです。そもそも我々が生きていくのに、目的も成果もないのです。ただ生きて、喜び、悲しみ、死んでいくのです。

まあ、「社会情動的スキルを育成する」という「目的」がこの研究にはあるわけですけれども、それはあくまでも研究という体裁をとったことによる「フリ」ですね。その目的を達成するためには、目的も成果もない活動をすることが必要だというわけです。

## まとめ:町選び

今回初めてのワーケーションのまとめをしておきましょう。

まず、ワーケーションの場所をどう選定するかです。

観光や見どころというものはあまり重要ではありません。今回も観光地をいくつか回りました。網走監獄博物館、網走流氷館、摩周湖など、観光客が必ず訪れるようなところです。こうしたところは一回行けばOKです。ワーケーションとしては、行かなくてもいいのです。

それよりも、街歩きをしていて楽しいことが重要です。洒落たお店や喫茶店があること。それは散歩したり、ランチをするのに必要です。その土地の名物の食べ物は、何回も食べるものではありませんので、おいしい定食があることの方が重要です。

ワークの場所として、公共施設が使えるといいです。今回はエコーセンター2000というところで研修室を安く使うことができました。研修室は味気ないですけれども、ホワイトボードが使えるので能率が上がります。

運動できる場所も重要です。街歩きで散歩する以外にも体を動かすことはレクリエーションになります。今回はボーリング場で卓球をしました。1時間ほど卓球をすると、とてもよい運動と気晴らしになります。今回はやりませんでしたけど、パークゴルフ場もありました。

以上のようなことを考えると、ワーケーションの場所としては、観光地は避けたほうがいいでしょう。コンパクトな街で、観光客は少ないけれども、文化的な基盤(美術館や博物館)がある町がいいです。

## まとめ:人と仕事

1人で行くか、2人以上で行くかということも重要です。ソロで行く場合と複数人で行く場合では、仕事の種類も変わってくるでしょう。今回は2人でワークをしました。議論も進み、アイデアも生まれるので、複数人のワーケーションはおすすめです。ただし、お互いに共通した目標を持っていることが大切です。

ソロの場合のワーケーションはどうなるのか、これは次の機会(佐賀)で試してみたいと思います。私の仕事は1人でやることが多いので、それが場所を移しただけのことになるのか、あるいは何か違いが出てくるのかということを観察してみたいと思います。

結論として、今回のワーケーションはとてもよかったです。天気にも恵まれました。引き続き、月一回あるいは隔月で一回くらいは企画していきたいと思います。