リヒテルズ直子『オランダの個別教育はなぜ成功したのか』

オランダの個別教育はなぜ成功したのか イエナプラン教育に学ぶ

• 私たちの学校の出発点になっている重要な考え方の一つは、調和の取れた発達に関心を払う、ということです。社会情緒的発達、運動能力の発達、認知的な発達の三者はバランスがとれていなくてはなりません。
• PBL方式は、学生の＜自立性＞＜起業精神＞＜問題解決への指向性＞を養うことを目的とするものだと大学は説明しています。／大学生たちは、入学後すぐに十人未満の小グループで共同学習を始めます。それぞれの科目では指導段階ごとに、学生たちが＜問題解決＞研究に取り組むためのきっかけとなる事例がいくつも用意されています。この事例というのは、私生活の中で、あるいは、学生たちが将来就く仕事の現場で生じると考えられるさまざまな問題の場面や状況を設定、表記したものです。……小グループのディスカッションには、それぞれチューターと呼ばれる指導者がついており、学生たちのグループ討議のプロセスを監督し、討議の進む方向やレベルによっては、必要に応じてコメントを加えます。……グループ討議と自主研究による問題解決学習は、一、二週間ほどの期間を設けて行われ、何度も繰り返されます。
• 日本では、熱血教師をテーマにしたテレビドラマがしばしば人気を博しますが、あんなことを日本中の先生たちが毎日繰り返していくことができるのでしょうか？　そして何よりも、教育の主人公は子どもです。先生が主人公の、まるでパフォーマンスのような授業を、子どもたちは本当に喜んでいるのでしょうか。