- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2008/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 人間が語るときにその中で語っているのは他者であり、人間が何かをしているときその行動を律しているのは主体性ではなく構造である、というのが本書の主な主張であります。
書くこと
- 書き手自身の中で「対話」が行われている文章というのは悪くないと思うのです。
- 先行するのは「ことば」であり、「言いたいこと」というのは「言葉」が発されたことの事後的効果として生じる「幻想」である。
- 「コンテンツ」はもう私のものではないが、それを載せている「ヴィークル」は今でも変わらず私のものである。
社会システム
- 成人の条件というのは「どうふるまってよいかわからないときに、どうふるまうかを知っている」ということである。
- 原理主義者は「リソースは無限である」ということを前提にして、至純にして最高のものを求める。機能主義者は「閉じられた世界、限られた資源」の中で、総体的に「よりましなもの」を求める。
- システムをクラッシュさせた責任は「誰に責任があるのだ」と声を荒げる人間たちだけがいて、「それは私の責任です」という人間がひとりもいないようなシステムを構築させたことにある。
- いいよ、これはオレがやっとくよ」という言葉で未来のカタストロフは未然に防ぐことができる。けれどもカタストロフは「未然に防がれて」しまったので、誰も「オレ」の功績を知らない(本人も知らない)。
- 他者からの支援をとりつけるための最良のアプローチは何か? たぶん、ほとんどのひとは驚かれるだろうけれど、それは「ディセンシー」である。「強い個体」とは「礼儀正しい個体」である。
- 老師が教えているのは、世界に少しでも「よいこと」を積み増したいと思うなら、「ほうっておいても、どんどん世界をよくする非人称的なシステム」について考えるよりも、とりあえず自分の足下のゴミを拾いなさい、ということである。
- 自動車やパソコンを買い換えるときには、「まだ使える」のか「もうダメ」かについて、けっこう真剣な計量的思考をされるはずの人びとが、こと社会制度については、いきなり「廃絶」という革命主義的方針を好まれるのは、私には理解しがたいことの一つである。
- 愛国心についてぺらぺら語ることは結果的に同国人を愛する動機を損なう。
- 自分自身の内側には見るべきものがなく、すぐれたものはすべて外部にあるというのは日本人の基本的なマインドセットである。これはものを学ぶということに関してはたいへん効率のよい構えである。
- 「学びへのニーズ」などというものは自存しない。「学びへのニーズ」とは何か、それはどのように生まれ、死ぬのか、ということを専一的に考え抜く「先生」が登場した後にそれは生まれるのである。