KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

日本認知科学会の学習と対話研究分科会

標記の研究会が東大で開かれた.参加者80名という盛況ぶり.教育心理学会の直前ということもあったのかな.

私は「大学初年次教育の中のレポートライティング指導の実践例」というタイトルで話題提供.認知科学会関係で話をするのは,実に十年ぶり以上ではないだろうか. 討論が始まって,「これこれ,こういう雰囲気だった」というのを思い出した.遠慮やてらいのない,ガチの議論ね.

発表内容は,アカデミック・ライティングのトレーニング方法として,

  1. Toulminの三角ロジックで,主張の方法の訓練
  2. 序論・本論・結論の5段落構成で1000字レポートの訓練
  3. ピアレビューを,表現レベル,ロジックレベル,メタレベルで実施

というコースを設定して,実践していることの報告.

気づかされたことは,こういう「型」から入るトレーニング方法は,中身の面白さ,発想のユニークさ,というのが置き去りになりがちだということ.でも,それを差し引いても,型から入って,一種の「基礎トレーニング」をすることに効果があると考えている.

とはいえ,面白さも求めたい.特に「面白い」トピックや問題設定をすることは,大切.減点はされないけれども,当たり前のことしか書いていないレポートを読まされるのは,そういう可能性は十分あるとは知りながらも,寂しい感じがするので.

その意味で,鈴木宏昭さん(青学)が指摘していた,感情の働きには注目したい.「あ,これは面白そう!」という感情の動きを,書くことへのきっかけとして使えたらいいな.

しかし,何もないところから面白いトピックは掘り出せない.そのためには書く前の読みの訓練が必要なのだろう.特にただ受け入れるだけの受容型の読みから,自己準拠的な読みを身につけること.これもまたトレーニングの1項目として入れたい.

追記

「野菜さらだの「大人になんかなりたくない!」」に同研究会のレポートがあります.

追記2

「tate-lab - 教育・学習について研究する院生のblog」に,内容を含めた詳細なレポートが掲載されました.