研究会に参加したら何をするべきなのか? 発表者の研究についてよく聞き,ノートを取って勉強するのか? そうじゃない.研究会は授業ではない.勉強する時間ではない.では何をするのか?
1. 「なんでこの人はこんな研究をしているのか」にフォーカスして聞く.それは何らかのニーズがあるからだ.そもそもなんでこんな研究を始めたのか.この研究で明らかになることがあるとどんないいことがあるのか.そこまでさかのぼって聞く.そうすると,自分がなぜ今自分の研究をしているのか,どんなニーズがあるからやっているのか,ということがわかって来る.
2. 「この研究方法は私の研究にも使えるのではないか」にフォーカスして聞く.研究者はさまざまな手法使って研究を進める.ありきたりの方法もあるだろうし,特殊な方法もあるだろう.目的に合っている方法もあれば,まったくミスマッチな方法を使っている場合もある.その方法にフォーカスして聞く.自分の使ったことのない方法があれば,具体的な手順について良く聞く.そして,自分の研究に使うとすればどう使えるだろうかということを考えるのだ.
以上の1と2のようにフォーカスして聞くと,自然に質問がしたくなる.必ずそうだ.「そもそもなんでこんな研究をしているのですか?」という根源的な質問と,「実際にはどういう手順でやったのですか?」という具体的な質問が必ずしたくなる.そうしたら,まっさきに手を挙げるべきだ.躊躇してはダメ.
研究会は,いまやっている自分の研究を進展させるために参加するものだ.勉強するためではない.そう考えると,目の前で発表されている研究が宝の山に見えてくるだろう.発表を聞きながら,内職なんてできないはずだ.発表は教科書ではない.研究者が現在進行形で進めている真剣勝負なのだ.だからこそ,そこから学ぶことはいくらでもある.