2022年9月5日(月)
9月3日(土)に大阪産業大学孔子学院中国語教員養成講座として「学習者の基本的心理欲求を授業デザインに活かす」と題した講演をしました。時間は2時間で、前半の1時間でお話をして、後半の1時間は質疑応答としました。Zoom開催で、参加者は40人前後でした。
話の内容は、Ryan & Deciの基本的心理欲求「できる、つながる、自律する」をインストラクショナルデザインのモデルにつなげて考えるというものでした。
質問としていただいたのは次のようなものです。簡単な回答を添えておきます。
### Q1:マインドマップのアプリは何を使っていますか。
これは毎回出る質問です。私が愛用しているのは SimpleMind Pro です。下のサイトに紹介があります。Mac版もWindows版もあります。買い切りで数千円です。お勧めです。トライアルで使ってみたらすぐに購入したくなるでしょう。
いままでスライドを作成するのに時間がかかりすぎていると感じる人は、マインドマップによるプレゼンテーションを試してみる価値があります。
### Q2:学習者にどのような声がけをすればいいですか。
これは、入門段階、中級段階、熟達段階のどこに学習者がいるかによって少しずつ変わってきます。入門段階では、とにかくほめることです。うまくいかなくても、失敗してもほめます。うまくいったら「最高ですね!」と言いましょう。そして10回に1回くらいひとつだけアドバイスを入れます。アドバイスの割合は段階が進んでいくにしたがって少しずつ増やしていきます。
### Q3:大福帳の返事を書くのが大変です。どのようにしていますか。
学生が100人を超えると、大福帳のコメントを読んで返事を書く時間が無視できないくらい長くなってしまいます。学生全員に返事を書けるのは、経験的には50人くらいまでだと思います。それを超えた場合は、質問が書かれているときだけその回答を書くようにして、それ以外は「読みました」のスタンプを押すようにしてはいかがでしょうか。
### Q4:「教えない」授業が流行っているようですが、どう考えますか。
これも、学習者の段階によって変わってきます。段階が上がれば、相対的に教員が直接教える時間は少なくなり、自分でトレーニングする時間や仲間と共同作業をする時間が増えてくるでしょう。そこでは教員の仕事も、直接教えることから、グループワークのデザインをしたり、作業の様子を観察しながら必要に応じて介入していくということに変わってくるのです。
### Q5:教員はコーチング的なスキルを身につけるべきでしょうか。
身につけた方がいいと思います。それと並行して、インストラクショナルデザインの理論に基づいた授業の設計と実施の仕方を学ぶのがいいと思います。学んだ理論やモデルはすぐに自分の授業で試すことができますので、とても効率よく身につけることができると思うのです。
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こんな感じで、久しぶりのZoom講座でした。新鮮さもあって、楽しくできました。
企画者の紅粉先生からは、サバティカルがあける2023年度は、教える技術オンライン研究会を再開してくださいとリクエストをもらいました。どのようにするか考え中です。