2022年10月7日(金)
さて、秋学期の授業がスタートしています。通学生4年生のゼミを代講してもらっていたナオコ先生が、10月1日から北海道大学高等教育推進機構・高等教育研究部に異動してしまいました。ちなみにマユミ先生は、北海道大学高等教育推進機構・オープンエデュケーションセンター・eラーニング部門の所属です。ゼミ生が2人も北大に就職できたのはすばらしいことです。
そんなわけで急遽、私が復帰することになりました。うぐぐ。まだサバティカルは半分残っているのに。まあ、就職は喜ばしい話ですので、仕方ありません。職場復帰のためのリハビリと考えて、ゼミをしましょう。
というわけで、さっそく10月3日の午後にゼミがあったのですけど、4年生は軒並み欠席届が来ました。いわく「内定式があるので」と。そうなんですよ。毎年、秋学期の初回は「内定式」で半分以上のゼミ生が欠席なのです。ゼミが月曜日なのでこうなります。
ちょっと萎えますね。欠席届が来たのが、ゼミ生8人中6人です。残りの学生もZoomを希望しています。
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こんなふうに10月初めの内定式が授業を妨害するケースが何年も前から起こっています。私の考えとまったく同じツイートがありました。
> 昨日のゼミは4年生は内定式だということで来られない人が多かった。就活にはわりと寛容なほうだが、この内定式というのだけは理解できない。授業のある平日に学生を(おそらく無給で)呼び出して、いったい何をやっているのだ?4月に入社式をやれば十分なのではないのか?
橋本一径
@KazumichiH
https://twitter.com/KazumichiH/status/1577147398782341120
奇しくも早稲田大学文学学術院の先生でした。
採用する企業の側にも意図があるんだと思います。本当に入社するつもりなのかを確認したい、というような。でも、そのためだけだとしたら、大学にも社会にもかなりの損失です。秋学期の最初の授業で出鼻をくじかれるのは痛いです。
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結局、昨日の4年生ゼミは休講にしました。8人中6人が「内定式」により欠席で、残りの2人もZoomでとなれば、やってもあまり意味がないので。しかし、3年生のゼミ(あべちゃん先生担当)には同席させてもらいました。こちらは全員が出席でよかったです。
北海道での合宿がよかったと3年生みんなが言っていたのが印象的でした。「最近の学生は、合宿、飲み会なしのゼミを選ぶ」というニュース記事を読んでいました。しかし、それはここでは当てはまらないな、ということを確認しました。
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ところで、大学院ゼミのときに出た話題。
「向後先生は、ゼミではあまりIDやアドラーを扱わないですよね」
確かにそうだ。インストラクショナルデザインのゼミと聞いて、それを期待してくる学生としては肩すかしになるかも。
なぜだろうか。その理由はいくつか考えられます。
(1) ゼミはレクチャーの場ではないと考えているから。話題は常にゼミ生から出してくるべきだと思っている。私は授業ではしゃべるけれども、ゼミではゼミ生が主役であり、彼らが自分が関心を持っている話題を話すべきだよね。
(2) ゼミでは特定の領域のコンテンツを習得するのではなく、研究全般に活かせるようなスキルを磨いてほしいから。だから研究方法論と具体的な研究手法についてはできるだけ話題に出したいと思っている。
(3) ゼミ生自身が関心を持っていることに集中してほしいから。だから、私が話したいことではなく、ゼミ生が話したいことを優先する。理工系のゼミによくあるように、指導教員が持っている大きな研究テーマを分割してゼミ生に取り組ませるというシステムは最初からあえて取ってきませんでした。今考えると、もしそうしていれば、もう少しまとまった大きな研究もできたかなという感じはします。しかし、私は最初からこのポリシーでやってきたということです。
ということで、もちろん、アドラーやインストラクショナルデザインについて話せと言われれば話します。話し出したら際限ないですよ。しかし、特段のリクエストがない限り、封印(大げさ!)しているというわけです。