2023年5月5日(金・祝)
宮台真司・二村ヒトシ『どうすれば愛しあえるの』(KKベストセラーズ, 2017)をKindleで読んだ。著者二人が会場からの質問をもらって対談する形式で、それを文章にしたもの。
宮台真司はアドラー心理学をちゃんと知っている。宮台真司×神保哲生×岸見一郎鼎談(2014)をWebで読むとわかる。この鼎談の内容自体はあまり噛み合っていないように読めるけれども。
https://diamond.jp/articles/-/56496
この本の中でも、共通感覚や共同体感覚というキーワードが出てきて、宮台はそれをアドラー心理学の文脈できちんと使っている。
宮台真司の考えの枠組みは次のようだ。
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世の中は、法によってコントロールされた「法化社会」とそこから外れた「法外の世界」からなっている。法外の世界では、人は共通感覚を共有している。それはつまり妄想を共有していることにほかならない。法化社会では、共通感覚を喪失した人々が法律や正義を振りかざして生きるしかない。
セックスでの変性意識下では自我によるコントロールが効かなくなる。そうしたフュージョン的体験を経ると、日常が仮の姿にしかすぎないことを理解できるようになる。フュージョン的体験とは、自分を相手に映し、相手を自分に取り込むこと。
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愛と友情は違う。アドラーが愛のタスクと交友のタスクを分けたのは正しかった。愛を考えるには法外の世界を考察することが必須だ。