KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【アドラー】『アドレリアン』編集委員会から執筆依頼

2023年12月5日(火)

広島で今年の10月に開かれた日本アドラー心理学会総会(JSAP)で演題発表として「課題の分離の出自と変遷」を発表した。『アドレリアン』編集委員会からメールが来て、その内容を論文にしないかという提案をもらった。

総会の発表をそのままにするのではなく、論文の形として公開することは大切と考えているので、貢献させてもらうことにした。また、JSAPの総会ではいわゆる大会論文集が作成されないので、なおのこと学会誌に載せておくのは必須になるだろう。

それほど重要な問題ではないので、原著論文(16,000字以内)ではなく資料(6,000字以内)のカテゴリーで書く予定。あらすじは以下の通り。

・『嫌われる勇気』が広く読まれた影響で、「課題の分離」という考え方がアドラー心理学の真髄であるという誤解が広まった。
・しかし、課題の分離はアドラーとその弟子たちの概念ではない。
・その出自は、ゴードンのPETからスタートしている。
・野田俊作は自身の親教育プログラムの中で「共同の課題」への道筋としてまず「課題の分離」を準備ステップとして置いた。
・これはアドラー心理学の「協力 cooperation」という概念を掴んでもらうためには悪くない方略である。
・アドラーといえば「課題の分離」であるという広まった誤解を解消するためには、アドラー心理学を教える人たちは「協力」の概念を中心に据え、課題の分離はアドラーの概念ではないことを知らせる必要がある。

【追記】
逆に、大会論文集を作らない意味もあるのかなと思った。発表するにはエントリーとして数百字の要旨を送ればいいだけだ。こうすることで、エントリーしやすくなり、なおかつ、活字にする価値のある発表に対しては、原稿依頼をすることができる。自然な形で研究のフィルターがかかるという見方もできる。