KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

野島久雄・原田悦子編著『<家の中>を認知科学する』

“家の中”を認知科学する―変わる家族・モノ・学び・技術

“家の中”を認知科学する―変わる家族・モノ・学び・技術

「行為の実行」というものは、言語と比べるとはるかに研究が少ないけれども、認知科学において大事な問題だ、と彼(ノーマン)は指摘しています。言語についても、ジェスチャーや間の取り方や抑揚というものが、言葉と同じくらい、情報を伝える役割を果たしているわけですから、そういうものにもっと関心を向けるべきだとも言っています。

ロルフ・イエンセンは、『物語を売れ』のなかで、人間社会は農耕社会に始まり、工業社会、情報社会と進んできて、これからは物語(あるいはドリーム)社会になるのだと言っています。マーケティングの世界では、これからは、売るのは商品のみではなく、それに付随する物語なのだということを主張しています。

私たちはグラウンディングに基づくインタフェースとして、「マイボタン」というものを考えています。名前が示すとおり、ボタン1つのインタフェースです。たとえば明かりをコントロールしようと思えば、電灯に向かってこのボタンを押せばコントロールできるし、テレビに向かってボタンを押せばテレビが点きます。どのチャンネルを見るのかということは、このマイボタンが学習していて、この人は何曜日、何時からは何を見ているということを知っているので、ボタン1個でテレビがコントロールできます。

「家の中」や「家族」をめぐって、多岐に渡る14章が収められているが、自分にとってはインタフェース系の章がやはり面白い。抜き書きはしなかったけれども、「思い出工学」の章も面白い。それと、ドナルド・ノーマン先生はやはりすごい。