KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

書評の書き方

ワードによる要約

認知科学」誌から書評を依頼された。それで東京に行っている間にその2冊の本を全部読んだ。書評を書くのはこれが初めてだ。専門書を売るためにも、学会誌はカバーする領域の専門書を、書評という形で積極的に紹介するという仕事を請け負うべきだ。

書評というのはいざ書くとなると難しいことがわかった。私のWebページでも「読んでみた」と題して本の感想を書いているが、それほど気楽には書けない。書評の書き方を習っていないので自分で整理してみることにする。その本の背景・ニーズとねらい その本の価値、不足部分、考えられる展開(リクエスト)

↑なんか最後がヘンだが、「書評」という単語が入っている文を切り出し、その次に続く文も合わせて出しているのではないかと予測させる。(関さん、ありがとう)

 「認知科学」誌から書評を依頼された。それで東京に行っている間にその2冊の本を全部読んだ。考えてみれば、本全体に目を通すということはあまりない。ほとんどの本は流し読みであり、本当に読んだといえるところは自分の興味のあるところだけである。通常はそれで不都合はない。しかし、書評を書くとなると、始めから終わりまで読むのがマナーである。取り上げるところはそのごく一部であるとしても。

 書評を書くのはこれが初めてだ。外国のジャーナルにはたいていブックレビューのコーナーがあり、しかもかなりのページ数を占めている。重要な問題提起をしている本についてはレビューアーと著者が論争を始めることもある。日本のジャーナルではレビューのコーナーを持っている方が少数派である。「認知科学」誌は本のレビューコーナーと論文のレビューコーナーを持っているという点で、外国のジャーナルに近い。

 専門書はなかなか売れないので、出版社も出版を渋るという悪循環が起こる。専門書を売るためにも、学会誌はカバーする領域の専門書を、書評という形で積極的に紹介するという仕事を請け負うべきだ。

 書評というのはいざ書くとなると難しいことがわかった。私のWebページでも「読んでみた」と題して本の感想を書いているが、それほど気楽には書けない。考えてみると書評の書き方を自分が習っていないことに気づいた。学校の国語教育はこうしたところでも的を外していると思った。感想文ではなく書評を書く訓練が、将来学生がどの専門分野に進むにしても必要なのではないか。

 書評の書き方を習っていないので自分で整理してみることにする。書評には次の要素が含まれていることが必要だろう。

  • 1. その本の背景・ニーズとねらい
  • 2. その本の主張の要約、特徴的なトピック例
  • 3. その本の主張の妥当性、信頼性
  • 4. その本の価値、不足部分、考えられる展開(リクエスト)

 1.と2.については評者は客観的にその本の内容をまとめ、紹介しなくてはいけない。ここでは我を出すよりも、書評を読む人へのサービスを考える。

 3.と4.については、評者の主観と価値判断が入ってくる。書評に取り上げる時点で、その本は広く読まれるべきであるという判断がなされているわけだから、ここでは評者の独自の判断を展開することが許される。