KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

仕事のできるBGMの要件

 バックグラウンドミュージック(BGM)をかけながら仕事をするほうである。そのため研究室には5枚連続演奏できるCDプレーヤーが置いてある。いちいちCDを換えるのが面倒だからだ。音楽の種類は雑多である。山下達郎のあとはブルックナー交響曲第8番のオルガン編曲版、そのあとはビル・エヴァンスのピアノ、そしてヴァン・ゲリスが来たりする。ときどき太田裕美を聴いては涙する。かなり一貫性のない選曲である。

 歌謡曲はBGMにはあまり向かない。本を読んでいるときなど日本語が耳からはいってくるとじゃまになるからだ。同様に、英語を読んでいるときは、英語の歌謡曲はじゃまになる。とするとクラシック音楽はBGMとしてはかなり良い。基本的には、耳につかないことがBGMの要件だ。その意味ではジャズは向かない。展開が予想しにくいので、つい聴いてしまうからだ。しかし、もう聴き慣れたものならだいじょうぶだ。聴き慣れてしまえば変拍子だらけのストラヴィンスキーの「春の祭典」ですらBGMになる。

 BGMをうまく使えば原稿を書くことができる。ある原稿、たとえば卒論を書くときには必ず自分で決めた音楽をかけるのである。たとえばラヴェルの「ボレロ」をかける。卒論を書くときには必ずそれをかけるのである。そんなことを何回か繰り返す。そうすると、あら不思議、ボレロをかけただけで自動的に原稿を書く態勢になってしまうのだ。実は私はこれを自分の卒論を書くときに実行した。今でもそのときに使った音楽を聴くと、さすがに卒論を書く気分にはもうならないけれども、卒論を苦しみながら書いたあのころの光景がよみがえってくる。これは認知心理学では、文脈依存効果(context-dependency effect)として説明されている。潜水夫に海でもぐったときに単語を覚えてもらい、それを陸上と水中とで再生させると水中のほうが成績が良かったという実験がある。

 最近はスカパーのデジタルラジオを「ビデオテープ」に録音している。いろいろなジャンルの音楽がそれぞれのチャンネルで流れているので、自分の好みのBGMを作るには最適である。画面には流れている曲目が表示されているだけだが、音楽はデジタルなので十分な音質だ。それをビデオに録画(録音)しておき、研究室でビデオを再生してBGMにしている。ビデオデッキから、音はステレオで再生し、画面はマックにつないでデスクトップビデオで見られるようにしておけば曲目を確認できる。ビデオテープは2時間でBGMには十分な長さであるし、CMや解説がまったくはいらないので気に入っている。BGMビデオライブラリーが増えそうだ。