KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

苦行療法

名古屋に来ている。

ワイドビューひだで、朝8時に富山を出発して、12時過ぎに名古屋に着いた。私の家は、高山線越中八尾駅に近いので、高山線を使うときは便利だ。とはいえ名古屋まで4時間近くはかかる。

最近はiBookのおかげで、電車の中の過ごし方が固定化してきた。iBookに蓄積したお気に入りの音楽を聴き、それが飽きたら本を読む。

今読んでいるのは、ヘイリーの『戦略的心理療法の展開〜苦行療法の実際』(星和書店)。これは、苦行療法の治療事例を集めたもので、理論的な解説は少ないのだが、それが逆に、推理小説を読むような臨場感を高めている。治療者とクライエントのやりとりを読みながら、「この先、どんなふうに展開して行くんだろうか」とハラハラしたりする。

苦行療法は、簡単に言えば、取り除きたいと思っている症状(たとえば嘔吐癖)を、それよりもやりたくない苦行(たとえば夜中に起きて、床にワックスをかける)をクライエントに納得してもらって、実行を約束させるすることで、元の問題の症状を取り除こうということだ。

行動分析学の用語でいえば、「嫌子出現による(問題行動の)弱化」に相当する。その意味では、構造は簡単だ。しかし、その嫌子を誰が出すか、あるいは自分で出す場合はその実行をいかにして守ることができるかが、弱化が成功するポイントであり、通常はそれこそが難しいのだ。それをいかにしてクライエントに納得して、実行してもらうまでに持っていくかが治療者の腕の見せ所である。そのやりとりのスリリングさが、この本に紹介されている事例から伝わってくる。

明日から日曜日まで開かれている教育心理学会に参加する。明日はポスター発表があるので、前泊する。あさっては、自主シンポジウムの話題提供がある。