KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

「この子から頼まれてコーチをしてます」

パソコンとインターネットを使った実技試験のことを書いたら、掲示板の方で反響をいただいた。面白い試みだといっていただけると、やった方としてもうれしい。受験生はどう感じているのかわからないけれども。

試験中もインターネットでつながっているから、外の人にメールや掲示板で助けを求めることができる。それは不正やカンニングと同じことになるのだろうか。なんだかそれとも違うような気がしている。

富山に来る前に、非常勤講師でパソコンをある私学で教えていた。そのときも私は実技試験をやっていた。授業内容が実技なのだから、試験も実技であるべきだと考えていた。もう10年以上前の話だ。で、その実技試験をしていると、見覚えのない学生が一人いた。しかも、その学生は試験を受けるでもなく、ある学生の後ろに座って「コーチ」をしていたのだ。「何しているの?」と聞くと「この子から頼まれてコーチをしてます」と正直に彼は答えた。彼には丁重に退場していただいた。しかし、ひょっとするとそれも「あり」だったのかもしれない。コーチしてくれる友人がいるというのは現実の中で大きな強みではないか。

アメリカの大学で、他人のレポートからコピベで拝借するのがはやっていて、それを自動的に検出するソフトもできていると聞く。なんだかイタチゴッコのようでもある。他の人の良いレポートを参考にして、自分なりに消化して書くのは「あり」だと思う。適切な引用も必須スキルのひとつだ(先日の問題も「適切な引用」のテストを含んでいた)。問題は「自分なりに消化して」というところで、これを確認するためには本人につっこんで聞いてみればいいわけだ。

もちろん掲示板で示唆いただいたように、アクセスログを取ったり、スクリーンをビデオに録画したりという手もあるけれども、本人に聞くのが一番早く確実だ。PSI授業の通過テストが口頭試問なのもそういう理由だ。正解を暗記していても、つっこまれればボロがでる。つまり、きちんと理解しなければ合格できない。

「試験+面接」では試験をゆるくしていい。面接で信頼性が測れるから。しかし、すべてを試験で決めようとすると、密閉した部屋の中で行わなければ信頼性が保たれないということになる。