KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

勝者のいない競争

国立大学の再編統合関係のニュースが次々とはいってくる。埼玉大学群馬大学の統合構想は、県をまたいでの統合であるだけにちょっと驚いた。なるほど状況はもうそこまで進んでいるんだ。

臨時教授会があった。富山医薬大、富山大、高岡短大の統合の構想について、医薬大から出されたプランについて話し合うというもの。そのプランには任期制の導入や、実績評価による予算の配分などがうたわれている。いよいよそういう時期が目前に来たのだということを感じる。任期制はすでに一部の大学では導入されているけれども、これを機に広い範囲で導入されるようになるかもしれない。

なるほど、大学の内部からの改革が進まなかったのは、学部教授会の自治が強固だったからだ。守りに回ると教授会は強い。たいていの外圧であれば跳ね返してしまう。

ところが、大学の再編統合にあっては、違う大学の教授会同士がぶつかりあうことになる。そこでは、どちらのほうが野心的なプランを提唱し、イニシアチブを取るかということで競争する。だから、結果として、守りに入った方は相手の改革プランを飲まざるをえないということで負け、攻めにいった方もまたみずからに厳しい改革を課さねばならないということで「負け」るのだ。つまりどちらの大学も自分を守れなかったということで、lose-loseの関係。勝つとすれば、「統合という名の下に大学教授会同士がぶつかるようにさせる」作戦を立てた官僚である。おそるべし。

勝者のいない競争が全国で行われているわけだ。願わくは、それで一皮むけた、よりよい大学に変わることを。