KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

長谷川啓三『家族内パラドックス』

家族内パラドックス (サイコブックス)

家族内パラドックス (サイコブックス)

長谷川啓三「家族内パラドックス」を読む。MRI短期療法の基本がよくわかる。パラドクシカルな指示がどうものかの具体例が面白く読める。臨床心理学の説得力というのは、この具体例の語り方にあるのだということを納得する。それは実験心理学のデータにあたる。なんだ、いまさら質的研究法も何もないじゃないか。昔からこうなのだ。

それはともかく、MRIの考え方がよくわかる。問題行動と偽解決のループを中心としたシステムとしての見方、そしで、そのシステムのどこかに(パラドクシカルに)介入することで、全体を変えていくこと。認知を変えること(リフレイム)の具体的な方法をたくさんもっていること。エリスの論理療法は個人内のリフレイムを扱うだけだが、MRIではそれを人間関係まで拡張すると言うこと。

この本にもっと早く出会いたかった。これは科学である。というか、そんなこと、はじめから気がつけ。