KogoLab Research & Review

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【アドラー】アンスバッハーによるアドラー心理学の特徴

2023年12月12日(火)

Silvano Arietti (Ed.) American Handbook of Psychiatry: Volume 1 (Basic Books, 1974)に収められているHeinz L. Ansbacher: Individual Psychology がPDFで公開されている。それをDeepLで翻訳して読んだので、そのメモ。アンスバッハーによるアドラー心理学の特徴をまとめたもので、改めて参考になる。

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アドラー心理学は文脈心理学。ある具体的な行動様式は本人が意識していない、より大きな具体的文脈の中でそれを捉えることによって決定される。

「重要なのは人が何を持って生まれてくるかでなく、その道具をどう使うかである」。これを理解するには、さらにもう1つの力、つまり個人の創造力を前提としなくてはならない。

ニーチェにとって「力への意志」とは他者を支配することではなく、自己の支配と完成に向かう力であった。アドラーにとっても力とは困難を克服することであった。

アドラー理論では個人内の葛藤は認めず、患者の私的感覚と共通感覚の対立から生ずる個人間の葛藤のみを認める。

アドラーにとってうつ病とは驚くべき芸術的創作であった。「自分の破滅を予期することで自分の意思を他人に強制し、自分の維新を保とうとする努力である」「自分の弱さを「手強い武器」にして「評価を得て、責任から逃れようとする」

アドラーによれば「心理療法は協力の訓練であり、協力のテストである」。患者と治療者の目標や利益が衝突してはならない。

アドラー派は、夢はその人が現在直面している問題の解決を試みたものであり、その人のライフスタイルに沿ったものであると仮定しているので、夢の内容からその人がどのような人であるかを推測できると考えている。

アドラーにとって心理療法の機能とは「遅ればせながら母性的機能を引き受けたもの」。つまり信頼できる仲間の存在を経験させること、この信頼を人間社会全体を包含するまで広めること。

アドラー派は、エンカウンターグループが共同体感覚の普及に対して十分な保証をしていないと考えている。主にカタルシスを助長し、他者をしばしばあからさまに卑下する。・・・下手な感受性グループは自己中心的な人の神経症的な行動を強化する。