KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

教育工学のオリジナリティ

やあ、道田さんの「読書と日々の記録」に『教育工学を始めよう』を取り上げてもらっちゃった。ありがとうございます。

研究手引きとはいっても、比較的一般的な(心理学的)実証研究の話なので、教育工学に限らず、心理学関連分野の人には役に立つのではないかと思う。対象が幅広いということはもちろんとてもいいことなのだが、それは逆に言うと、教育工学色があまり強くないともいえるかと思う。

そう、その通りで、現在の教育工学のほとんどの研究方法論は、心理学からの借り物なんです。実験計画法から質的研究法まで、最近の心理学研究方法論の急激な変遷までも、律儀にかぶっている。そこまで律儀じゃなくてもいいのに。

心理学が基礎学問で、教育工学はその応用学問といった感じが当たっている。ちなみに私は、方法論については「節操なき折衷派」で、役に立ちそうなものなら何でも使うという立場。その分、教育工学の哲学(そんなものがあるとしたら)は大切にしたいけどね。

教育工学で唯一オリジナルといえば、開発研究という方法論かな。実際に教育システムや教材を使って、それを試していく。Design Experiment(デザイン実験)と呼ばれる方法論。最近の教育工学の雑誌でも、特集が組まれるほどに成熟してきた感じはある。しかし、これは『教育工学を始めよう』の中ではあまり触れられていないんだよね。

ここら辺の研究方法論を中心に書けば、それはまさに「教育工学らしいもの」になると思うな。いつか書きたいな。