KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

夏のワークショップツアーを振り返る

実質10泊11日の今回のツアーを振り返っておこう。

この期間に、「実用文の書き方」ワークショップ(6時間コース)を3回、「教える技術」講演会(3時間コース)を2回行い、間に学会発表を挟んだ。体力的には破綻することなく、なんとかもったが、これくらいが限界点だろう。

実用文ワークショップについては、ほぼ完成形に近づいたという自信を持った。それは、中学生からかなり高齢の人までを巻き込んでワークをすることができたという実績を得たからだ。参加者の感想には「6時間と思えないほど、あっという間でした」というものが多かったが、それは集中して取り組むことができたことによるものだろう。

作文のワークは、個人作業が多くなるので、それをどのようにして、参加者同士のパワーを相乗的に高めていくかがポイントとなる。模造紙による構想マップや、ペアを組んでのノンストップライティング、そして最後の作品を回し読みしてのコメントのつけあいなど、グループで盛り上がるところと、静寂の中で個人作業を深めていくというメリハリの付け方がわかってきた。

今回は、スライドを使って説明をしたが、これもわかりやすかったようだ。また、ホワイトボードに実例を書いてもらって、パラグラフを組み立てていく例を示したのもよかった。後者は、基礎演習での体験から実践にうつしたものだ。

今回の実用文ワークショップを「基礎編」として位置づけることができるだろう。「応用編」としては、同じ6時間のコースで、「レポート」や「論文」に特化したワークを設計することができるだろう。トゥールミンモデルや、データからの考察の方法、パラレリズムなどのレトリックの訓練などを中核に据える。

一方、教える技術講演会はどうだったか。

3時間のコースであれば、2時間話し、1時間を質疑にあてるのがオーソドックスだ。しかし、今回は「出会い系講演会」を試みてみた。これは、講演会では多くの人が集まるけれども、隣の人と話さないまま帰途につくことが多いので、それを打ち破ってみたいという気持ちから考えたものだ。

1時間ごとに話し合いと休憩を入れ、席替えをする。成果はどうだったか。完全な成功とは言えない。改善すべき点がある。でも、どれくらいをグループによる話し合いの時間に当てればよいのかということがだんだんつかめてきた。

講演会のあとに、複数の人に「教える技術を学ぶためのよい本を教えてほしい」ということを聞かれた。一般の人に読んでもらうような(『自己表現力の教室』のような)本を書くことが必要だということを痛切に感じた。これは、早くやらなくてはならない。私自身の課題だ。