KogoLab Research & Review

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筒井洋一『言語表現ことはじめ』

言語表現ことはじめ

言語表現ことはじめ

著者の筒井洋一さんから『言語表現ことはじめ』を献本いただいた(ありがとうございます)。

今でこそ、大学で日本語技術を教える授業は珍しいものではなくなったが、それが当たり前のことではなかった時代にその科目を根付かせるには、さまざまなチャレンジが必要だった。1993年、日本の国公立大学では初めての日本語技術の授業である「言語表現」科目を全学規模でスタートさせたのは富山大学であった。その時の中心人物が、筒井洋一さんだ。この本は、「言語表現」科目の誕生から発展、他大学への波及のプロセスを、順次発表されていった論文を下敷きにして編集されたものである。

言語表現科目の発足した当時、私はJICAの専門家としてタイに赴任していたが、富山大学に戻ってくると、すぐに言語表現の部会に入り、授業を担当し始めた。筒井さんとはそのとき以来のつきあいで、私にとっての最大の財産になっている。筒井さんと、桜美林大学で日本語スピーチの授業をしている荒木晶子さんと私の3人で書いた『自己表現力の教室』は、今も12刷を数えるロングセラーになっている。そのルーツは、言語表現という科目にあると言っても良い。

この本は、それほど厚くなく、小振りのソフトカバーで、とてもセンスが良い。ひつじ書房という出版社は、本をていねいに手作りの感じで作っているんだなあと思う。