- 作者: 山下清美,川上善郎,川浦康至,三浦麻子
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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著者の方々から献本いただきました。ありがとうございます。
ブロガーがウェブログを「書き続ける』という行為を支えているのは、欲求→効用→満足という心理的過程であるという基本的なフローは同じであることがわかる。……読者からポジティブなフィードバックを獲得することは、さらにウェブログを書き続けようとする意欲を高め、ネガティブなフィードバックを頻繁に受けることは、多くの場合、その意欲を減衰させる方向にはたらいてしまう。
アクセス・コントロールは、情報を公開することが建前のインターネットとはなじまないように思われるかもしれない。しかし、特にウェブログのように個々人の生活や個人が得た情報、個人的な意見などを記録する場を不特定多数に無制限に公開しておくと、無用なトラブルに巻き込まれる危険性も皆無ではないのである。……一般的なウェブログ・ユーザーが本当に求めているのは、ツールとしていかに凝った機能をもっているかよりも、むしろシンプルな機能とコミュニティを楽しむための手軽なアクセス・コントロールなのかもしれない。
心理学者が書いたこのウェブログの本は、「人が書く」ということと「見せる」ということの根底にはたらいている仕組みをデータに基づいて明らかにしてくれるという点で、ひと味もふた味も違う。ウェブログに特有の現象だと思われていることが、インターネットの発展の歴史の中で、幾度となく繰り返されてきた現象と同型だということも説得的に書かれている。
巻末に収められた「ウェブログの歩き方」は、ウェブログを読み書きしている人たちと、これからしようとしている人たちへの、ウィットあふれる文体でコンパクトに書かれた文章になっている。「インターネット・ウェブログ関連年表」もウェブログの歴史を振り返るのに便利。心理学に興味のない人でも、この部分だけで、この本を買う価値は十分にある。
<追記>
「ウェブログに関する論文・記事リスト」の中に「ちはるのWeb日記論」(http://chiharu.cside4.jp/webdiary/)を入れていただいたが、これは今閉鎖してしまっている。また、時間を見つけて、これまでに書いたWeb日記関連の文章をどこかにまとめて載せようと思います。