KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【本】ラスムッセン『心地よさを求めて: アドラー心理学からみる感情論』(5)

2023年10月11日(水)

ラスムッセン(今井康博訳)『心地よさを求めて: アドラー心理学からみる感情論』(川島書店, 2022)の7章のまとめ。

https://www.amazon.co.jp/dp/4761009454?tag=chiharunosite-22

第7章 うらづけの感情

うらづけの感情
・Millonの生存の行動原理モデルでは、自己の増強と強化の感覚
・アドラー心理学のモデルでは、自己の重要性の感覚と他者との関わりの中での所属の感覚
・束の間の感情であり、いつも感じる人はいない
・終着点であり、動機づけの要因ではない

私たちが良い気分になるために外的な事柄が何らかの形であって欲しいときはいつでも外的な要因のコントロール下にある
・一方で、他者も自分の目標や願望を持っている
・それが、他者との関係で繰り返される闘争のきっかけとなる

うらづけの感情は劣等感をうまく埋め合わせていること(=補償)を反映している

喜び・幸福感
・取り組んでいることがうまくできている感覚
・安心=嫌なものがなくなった感覚
・「結合の感情(bonding emotion)」(アドラー)
 ・祝い事の機会は他者との関係を確実にする
・近道:薬物や飲酒、薄っぺらな人間関係は短期的な喜びをもたらすが、その後に長い苦しみが待っている

充足感(contentment)
・うらづけ感情の中で最も健康的なもの
・実際には達成できない理想や願望を手放すことが必要


・自分の人生に存在する愛すべき対象によって人生が豊かになること
・他人との関係を通じて自分自身をポジティブな言葉で捉えられると、その相手に対する愛の感情を育むことになる
 ・これは依存だが、絆を保つのに役立つ
・自分へのポジティブ感情が相手を良く扱うことから得られるなら、そのように相手を扱うだろう
・共同体感覚は愛のひとつである
 ・「汝の隣人を愛せよ」
 ・劣等感の強い人は共同体感覚を持って行動できない
  ・それを埋め合わせることばかりにとらわれるから
   ・これは「自己執着(self-boundedness)」として知られる

親は自分が良い気分でいたいために「良い子」であるように強制する必要がある
・それは愛情でやっていると主張するが、実際は親自身が心地よくあるための「子への依存」である
・より依存から離れた愛とは、相手に対して本人の選択と責任を取る機会を与えたいとする意欲だ
 ・Dreikurs:良いしつけとは、子どもを人生に備えさせるものだ

愛の4分類
・ストルゲー:親しんでいるもの:クラスメート、同僚
・フィリア:親密さと共通の責任:親、兄弟
・エロス:恋愛で感じる
・アガペー:高次の愛:欲求でも所有でもない=共同体感覚
・愛されることは意図的にできないが、愛することはできる

プライド:達成の感情
・個人レベル:自己の重要性と価値の認識
・対人レベル:その感覚をアピールする
 ・自分がいけてるというフィードバックを自分に与えてくれる