KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【ブログ】サバティカル半年が過ぎて2023年度の計画を立てる

2022年9月26日(月)

サバティカルの半分が過ぎようとしています。日本全国いろいろなところに出かけて、いろいろな人に会い、いろいろなことを考えて、リフレッシュできているなあと思います。現時点ではとうてい元の生活に戻れる気がしないです。でも、少しずつ戻していかなくてはならないので、2023年度の計画でも立ててみようかと思います。計画は次の4つにまとめられます。

  1. 授業「インストラクショナルデザイン」と「生涯学習と成人教育学」を開発する
  2. 早稲田大学エクステンションセンター中野校でアドラー心理学の講座を開く
  3. 「ID x Adler」オンライン研究会を開く
  4. 『上手な研修設計の教科書』を書く

1. 授業「インストラクショナルデザイン」と「生涯学習と成人教育学」を開発する

2023年度のインストラクショナルデザインのコースを新しいものにしようと考えています。新しいところは、基本的心理欲求理論と社会情動的スキルを組み込んだものにするという点です。

基本的心理欲求理論は、できる(Competency)、つながる(Relationship)、自律する(Autonomy)の3つの柱からなっています。これに従来のインストラクショナルデザインのモデルを配置していくというやり方です。

具体的にはこんな感じです。全14回として、

  • 1回 イントロ:インストラクショナルデザインx基本的心理欲求x社会情動的スキル

  • 2-5回 「できる」を感じさせるためのIDモデル:スモールステップ、フィードバック、限界的練習、足場かけ、モデリング、意志力と習慣化
 → 自分の学び方を知り、自分のコントロールの仕方を学ぶ

  • 6-9回 「つながる」を感じさせるためのIDモデル:ジグソー法、ピアインストラクション、グループワーク、プロジェクト学習
 → 他者を知り、折り合い、協力する方法を学ぶ

  • 10-13回 「自律する」を感じさせるためのIDモデル:自己決定性、選択肢の配置、記録をつける、計画を柔軟に変える、振り返る
 → 感情の意味を読み取り、計画し、実行に移す方法を学ぶ

  • 14回 まとめ

  • 授業の各回でワークをしながら、社会情動的スキルを自然な形で学んでいきます。これが裏のカリキュラムとして働きます。

2. 早稲田大学エクステンションセンター中野校でアドラー心理学の講座を開く

2022年度はエクステンションセンター中野校から、開講の依頼がありました。しかしサバティカルのためお断りしていました。サバがあける、2023年4月からはエクステンションセンターで対面での講座を再開しようかと考えています。

土曜日の午前中10:30〜12:00の開講で隔週にしようかと計画しています。隔週にするのは新しい試みです。同日の午後に大学院のゼミがあります。

大学院のゼミは以前から隔週の土曜日に開いており、いいペースであることは確認済みです。毎週だとだんだん息切れしてしまう感じがありますので、エクステンションの講座でも採用してみます。

テーマはアドラー心理学一本に絞ろうかと思います。隔週で、大学院ゼミのような雰囲気でやれるといいですね。

3. 「ID x Adler」オンライン研究会を開く

2023年度のオンライン研究会を計画中です。2021年度は、アドラー心理学とインストラクショナルデザインのそれぞれの研究会を隔月の最終日曜日に開いていました。その両方に参加してくれた人もいました。

2023年度はアドラー心理学とインストラクショナルデザインを統合した形で開催しようかと考えています。中心はインストラクショナルデザインとしてその土台にアドラー心理学を位置づけるという形です。これは最近の私の研究の姿勢でもあります。

インストラクショナルデザインは、1970年代以降、行動分析学→認知心理学→状況的学習論/社会構成主義という教授学習心理学の流れとともに展開してきました。さらに21世紀に入ってからは、社会情動的スキル(=非認知スキル)を重視するという流れです。

この社会情動的スキルは、端的には、感情を含めた自己のコントロールと対人関係の構築をトレーニングするということです。これはアドラー心理学が当初から重視していたものです。というわけで、インストラクショナルデザインの土台にアドラー心理学を位置づけることで統合するということになります。

開催は毎月最終日曜日の10-12時を考えています。2021年度は最終日曜日の15-17時でしたけれども、午前中に移動します。これは私が早起きになったことが影響しています。ただ、そうするとフランスの参加者は午前3時(日本との時差-7H)に起きなければならないのでつらいです。

対面+Zoomリアルタイムのハイフレックス方式で開催することを考えています。基本は早稲田キャンパスの教室で開き、可能であれば日本各地を回って開催するという形です。どこに行くかは、研究会のメンバーの要請で決めたいと思います。

4. 『上手な研修設計の教科書』を書く

サバティカル期間中は新規の講演依頼は受けないようにしています。それにもかかわらず、依頼の問い合わせがポツポツと入ってきます。依頼主は、企業、自治体、そして大学などの教育機関です。

特に、企業や自治体における研修担当者の育成の仕事はまだブルーオーシャンなのかもしれません。研修設計の方法やインストラクショナルデザインの考え方を教えられることなく、そうした業務についている人がほとんどです。

私はこれまで大学の授業設計というフィールドでインストラクショナルデザインを考えてきました。しかし、応用のフィールドとしては企業や自治体、NPOなどのさまざまな組織の方がはるかに広大なのです。そこに踏み込んでいきたいと思っています。

その第一歩として『上手な研修設計の教科書』を書こうかなと考えています。