- 作者: G.ベイトソン,J.ロイシュ,Gregory Bateson,Robert Vosburg,Jurgen Ruesh,佐藤悦子,ロバートボスバーグ
- 出版社/メーカー: 新思索社
- 発売日: 1995/03
- メディア: 単行本
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本の前半は、精神科医のロイシュが書き、後半をベイトソンが書いている。文章は読みにくいけれども、精神医学の分析を材料として、全体論科学、有機体論、相互作用、研究の再帰性、相対的理論化などの種まきがされている。
相互作用のある対面コミュニケーションに参加している時、人は、メッセージが誤解されたり、情報が欠落していることを知覚できる。ところが、メッセージが活字で伝えられる場合、省略を見つけることは難しく、ほとんど不可能である。かくして対面コミュニケーションと活字コミュニケーションの相違のために、精神医学理論と治療的実践の間に落差ができる。対人接触で口づてに伝わるメッセージと活字を通して伝わるそれとでは印象が違うのがことばの難しさである。コミュニケーションについて書くためにはコミュニケーションを使わなければならない我々は、自分の靴ヒモで自分を支えている立場にあるのだ。
精神医学が再帰科学であるかどうかを決めるのは、精神科医の、医業に対する倫理的な態度にかかっている。患者との関係、人間の相互作用についての見解、患者の攻撃からの防衛欲求は、自分を技術に長けた専門家と静的にみるか、絶え間なく向上成長する人として動的にみるかによって違ってくる。