KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

BBSにおけるメタ・メッセージ

「何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかが問題である」というアドラー先生のことばは大好きなのですが、それにしてもBBSのデザインはもう少し魅力的にならないものでしょうか。文面とツリー構造だけの「対話」は、あまりに殺伐としています。雰囲気を和らげようとしてつける顔文字も、逆にとられることがしばしばあります。

これらの問題は、ベイトソンの言う「メタレベルのメッセージ」を伝えるためのチャンネルがないために起こっていると思われます。

メタ・メッセージとは、このメッセージについてのメッセージということです。たとえば、(今言っていることは冗談だよ)というメッセージは、メタ・メッセージです。対面コミュニケーションにおけるメタ・メッセージは、ことばそのものでなく、通常、表情や仕草、声の調子によって伝えられます。

BBSでの顔文字は本来メタ・メッセージを伝えるものとして考案されたものと考えられますが、それが文面と分離していないために、メタ・メッセージとして受け取られないことが話をややこしくしています。たとえば、スマイリーが(冗談ですよ)に取られるか(嘲笑)に取られるかは決定的な違いを生みます。それを決めるのは読み手であり、読み手は文字通り文面からすべてのことを推測しなければなりません。通常の感受性を備えた読み手は常に2種類以上のメタ・メッセージの可能性を考えつつ返事を書かなければなりません。これによって、BBSでの文章が神経症的な傾向に偏ることになるかもしれません。逆に、BBS全体の雰囲気が性善説的なものに一貫していれば、参加者がお互いのメタ・メッセージを考えなくてよいという点で行き違いが少ないものに抑えられます(あるいは性悪説的に一貫していても同様です)。

BBSを行き違いのないものにするためには、全体のメタ・メッセージを参加者間で共有されたものにするのが効果的ですが、そうした風土や文化をもったBBSは少数派でしょう。そこで、BBSのデザインということになるわけですが。