KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

2005年「インストラクショナルデザイン」の授業を振り返る

来週で最終回となるインストラクショナルデザインの授業を振り返っておきます。去年は同じ時期に振り返ってこのように書きました。

2004-07-15 木

「インストラクショナル・デザイン」授業を振り返って

インストラクショナル・デザイン(ID)の授業が終わり、あとは最終テストを残すだけになった。この授業について振り返っておきたい。

早稲田に移ってから任された授業で、今回が2年目だった。基本的な枠組みは1年目に立てたものと同じで、前半はIDプロセス(ニーズ分析、ゴール設定、タスク分析、教授方略、形成的評価、総括的評価)をステップごとに進めていき、後半はIDを支える心理学の基礎(行動分析学認知心理学、状況的学習論、アドラー心理学)とIDの関係を説明するものだった。

1年目はスライドなどの準備によって取り上げるトピックを固め、続く2年目はワークブックを作って、授業内の活動をより促進することができたと思う。3年目を一応完成の年と定めよう。300人の大規模クラスの授業運営のパターンを確立したいという気持ちがある。特に、復習クイズの実施や、小グループ討論を充実させること(大規模クラスのワークショップ化)、大福帳の利用を含め、質疑応答を実効化することなど、いくつかの課題が見えている。

もし「ID2」と呼べる科目が開けるなら、それは教材デザインの理論と実例を中心に組むこともできるだろう。構成はこんなふうだ(カッコ内はかける時間の割合):ID独自の総合理論(1)、行動分析学による教材デザイン(2)、認知心理学による教材デザイン(4)、状況的学習論による教材デザイン(2)、教材の評価(1)。ID2は、ID1の理論重視に比較すれば、非常に実践的な科目になるだろう。

自分の今やっているバイトや仕事に役立つこと、そして自分の勉強の仕方にヒントを与えること、については、受講生にかなりのインパクトを与えることができたようである。

今年は、300人規模から70人規模に(なぜか)変化したので、5人の小グループ討論をするには良い条件になりました。授業の特徴は次のようです。

  • 導入としての短いビデオを視聴してもらう
  • 課題を設定しての5人の小グループ討論
  • 途中で教員がスライド付きで30分以内の短いレクチャー
  • 最後にグループでひとつの小レポートを書く

小グループ討論はかなり構造化されていて、じゃんけんで記録係を1人決め、専任でワークシートに記録していきます。それ以外の人は自由発言ではなく、1周目は1人ずつ順番に発言し、2周目は、1周目の発言に対するコメントとして発言していきます。こうすることで少なくとも出だしは全員で参加してもらうようにしました。

グループでひとつの小レポートを書いてもらったのですが、これは「当日レポート」方式(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050615)にならって1人でひとつのレポートを書いてもらってもいいかも知れません。個別にきょうの内容について内省が促進されるでしょう。

「出会い系」授業を標榜して、グループメンバーは入れ替わって良いことになっていたのですが、実際は回数が進むほどに固定メンバーになっていったようです。討論をする方としては慣れた人とやった方が安心できます。しかし、反面新しい考えに直面する確率は減ってしまいます。

今回は書く作業が多かったので、大福帳は使用しませんでした。しかし、使った方がいいかなという思いがあります。それは、やはり学生1人1人の考えが大福帳を読むことでわかるということです。それがない今回は、学生がどう思っているかについて手探りの部分も多かったような気がします。個人別の小レポートを書いてもらうなら、その一部を「お便り欄」にして大福帳的に使うことも考えられます。この場合は返却しなければならないので、コピーを取らなくてはなりませんが。