- 作者: サトウタツヤ,渡邊芳之
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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先月、帯広畜産大学に講演に行ったときに、渡邊先生からいただいた本です。
自分を変えないで、「じぶん探し」に出かけても、辛くなるだけです。……自分を変えないでいて何かを探すのではなく、自分が変わることで社会の見方が変わっていきます。社会の見方が変われば社会との関わり方が変わり、そのことは社会自体を変える力になっていきます。
採用試験などで当たり前のように行われる「性格テスト」の根拠になっているのは、性格が、経時的安定性(時間がたっても変わらないこと)と通状況的一貫性(状況が変わっても一貫性があること)を持っているという前提だ。しかし、実はこの2つの前提には実証的データがない。このことは、自分を振り返ってみて、あのときからはずいぶん性格が変わったなー、とか、状況次第ではどんな性格にもなれるな、と思うのに合致している。要は、性格テストはあまりあてにならない。
中間は、性格を決めるのは遺伝か環境かという論争を整理し、そのついでに血液型性格判断を一蹴する。
後半は、性格に、一人称的性格(自意識)、二人称的性格(関係)、三人称的性格(役割)があるというモデルを提示する。とりわけ二人称的性格というのは、自分の相手があってはじめて認識されるものであり、相手の性格の見え方は、常にそれを見ている自分に向けたものとして成立する、つまり自分込みでの見え方だと主張する。そこから展開して、自分の性格をプロデュースしようと呼びかける。
同じ著者の『図解 心理学のことが面白いほどわかる本』(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20000520)もそうだったが、心理学という学問にきちんと足を置いて、その上で軽やかに展開する発想は読んでいてとても楽しい。