KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

学校内・学校間での学力の分散

教育工学会シンポジウムの午後の部のテーマは、「学力の評価について考える」。

TIMSS、PISA、日本の全国学力調査のデータを引いての議論は面白かった。ポイントとなる視点は、学校内・学校間での学力の分散(格差)だ。日本の特徴は、学校内の学力分散が小さく、学校間分散が大きいこと。これがフィンランドでは、学校間分散がほとんどなく、分散のほとんどは学校内の分散なのだ。

日本では、学校が公立、国立、私立と多様な形態になっているということと、学校内での学力が均一化する圧力が働いていることが原因だと考えられる。特に、入試による学生層のフィルタリング効果が大きいのだろう。しかし、これが固定化すると、学力の低い学校は、その学校全体として低いままになり、国全体としての活力を奪うことになる。

このまま行けば、より学力の高い学校に行かせようとする親が、経済力を塾などに投資し、その結果として学校間分散を拡大する方向に進むだろう。その解決策として、シンポジストは、学力の低い学校への予算投入を暗示していた。妥当な方針だと思う。

前から、都道府県別の学力調査のランキングには意味はないと思っていたが、その思いを強くした。むしろ、都道府県別に、学校内・学校間での学力の分散を計算してみたらいいと思う。はたして秋田県フィンランド型なのか。